2011年に乃木坂46の1期生オーディションに合格し、エースとしてグループを牽引してきた西野七瀬。2018年の卒業後は話題作に次々と出演。2021年に公開された映画『孤狼の血 LEVEL2』では⽇本アカデミー賞優秀助演⼥優賞と新⼈俳優賞を受賞し、2022年公開の映画『恋は光』ではヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞するなど俳優として高い評価を獲得し、性別を問わず幅広い層から支持されている。西野七瀬のTHE CHANGEとは————【第1回/全3回】  

西野七瀬 撮影/冨田望 ヘアメイク/徳永舞 スタイリスト/鬼束香奈子

 爽やかな笑顔で挨拶し現場に入る西野さん。ショートヘアに良く似合う淡いイエローを基調としたコーディネイトをさらりと着こなす姿にファッションアイコンとして高いセンスを感じる。暖かい部屋のせいもあるのか、少しだけ赤く染まった頬からは、透明感や瑞々しさも感じられた。

 グループ卒業後は数多くの話題作に出演し、俳優として幅広いキャラを演じ分ける西野さんの出演最新作『君の忘れ方』は、大切な人の喪失からの再生を描いたヒューマンドラマだ。本作で西野さんが演じたのは主人公・昴(坂東龍汰)の亡くなった恋人・美紀。実存しない幻影の役である。

「美紀ちゃんの感情とか心情とか、何も無いものとして演じようと思いました。幻影というのはこれまでに演じたことはないですが、その“幻影感”のようなものを少しでも出せればと思って、瞬きを止めてみたりしました。歩き方も溌溂と生命力を感じさせるのは違うと思ったのでスローな感じを出したり……色々と初めての挑戦が多かったです。普段だったら相手のお芝居に対してリアクションするのですが、今回はそれを全部しないように努めました。本当に何も考えないでお芝居をする……という感じでした。頭を空にするのでも、瞑想するのでもなく、ただそこに居るという感じです。それでも、昴の動きに引き込まれてしまいそうな時もありましたが、そこは堪えて幻想に徹していました」