西野さんが持つ“透明感”が演じた美紀の“儚さ”ともリンクする

 実際にスクリーン上では、身に纏っている衣装が淡い水色ということもあってか“儚さ”という雰囲気が感じられるのだが、それは西野さんが持っている“透明感”とどこかリンクするようにも思える。

「オファーをいただいた時に作道雄監督がくださった手紙にも書かれてあったのですが、監督は私に対して、すごく”儚い”イメージを持っていらっしゃったんです。美紀の、“逢いたくても逢えない……”という存在感というか、空気感が私に通じるところがあったみたいで、出演依頼の手紙にもそのような内容が書かれていました。その”儚い“イメージというのは、出そうと思っても、たぶん出せるものではないと思いますし、周りの人々が感じてくれることだと思うんです。なので手紙を読んだ時は、“そんなふうに私のことを捉えてくださっているんだ”と嬉しく思いました」

(c)「君の忘れ方」製作委員会2024

――付き合い始めて3年の恋人・美紀との結婚を間近に控えていた昴は、突然の交通事故で恋人を失い、茫然自失の中、母・洋子(南果歩)に促され故郷の岐阜に帰省する。そこで昴はグリーフケア(死別を経験した人に心理的・社会的なサポートを与えること)を行っている人々と出会うことによって美紀の死と向き合うようになっていく……。昴役は昨秋放映されたドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS系)での演技が大好評だった坂東龍汰。

 「坂東さんとは直接のやり取りはあまり無かったんです。でも、表情とかデフォルメされ過ぎていない、すごく自然な、ほんとに普通に“居る人”のように見えたのはすごかったですね。休憩時間には、お互いに“演じるの難しいよね~”といった感じの普通な会話をしていたんですけど。次にまたご一緒する機会があったら、今度は普通に人間同士という設定で出来れば良いなとも思いました(笑)」