画面のどこにいても、どうしても追う目が止められずに引き込まれ、喜怒哀楽を刺激される俳優・佐藤二朗。ドラマ『勇者ヨシヒコシリーズ』(テレビ東京系)をはじめとするコメディでの活躍が思い浮かぶ一方で、近年は監督・脚本を務めた映画『はるヲうるひと』(21年)や、第14回TAMA映画賞で最優秀男優賞を受賞した主演映画『さがす』(22年)など、観る者を震撼させる凄みを放つ。コメディからシリアスまでその才覚を発揮し、コラム集『心のおもらし』(朝日新聞出版)を上梓するなど、多方面で活躍する佐藤さん。一筋縄ではいかなかった俳優道での『THE CHANGE』とはーー。

佐藤二朗 撮影/川しまゆうこ 

 向こうから、31センチという小舟のような足でどすどすどすと、足早に床を踏みしめ歩いてくる大きな男性がいる。近づくまでもなくわかる。佐藤二朗さんだ。そして我々の存在に気付くと、腹に響く声を放つ。

「読みましたよ。『天真みちるのTHE CHANGE』。”宝塚の佐藤二朗”って言われてますからね」

 取材前、弊サイトの記事を目にしてくれたという。天真さんのエッセイを出版した際には、帯を書いたことで縁があり、リモート飲みもしたことがある、と教えてくれたが、まだできて間もないTHECHANGEを見てくれていたことに、感激してしまった。

ーーお忙しい中、ありがとうございます。今日は、朝から晩まで取材だとうかがいました。

佐藤「あなたたちは2番目だからまだいいですよ。5番目くらいになると、寝ながら話すことになると思うよ。寝ちゃう寝ちゃう」

 昨年12月は『ひきこもり先生 シーズン2』(NHK)で主演を務め、今年の8月には綾瀬はるか主演、行定勲監督作の映画『リボルバー・リリー』が公開予定。来年には主演作を含む映画3本の公開が控える。