大きな影響を受けた舞台「ザンビ」

 結果、晴れてオーディションに合格。アイドルグループ「欅坂46」の一員として社会に出ることとなった。その後、2020年10月にグループ名が変更され、「櫻坂46」として再出発を果たす。つまり「欅坂46」では最初で最後のキャプテンとなった。グループ改名後も卒業するまでの約2年間キャプテンを務めた。

「学生時代は委員長やリーダーといった責任あるものに対してあまり積極的ではなくて、かなりお任せしてしまうタイプの人間でした。だから自分がキャプテンになった時、“こんなにも考えなければいけないことが多いんだ”ということを初めて知ったんです。その一方で、すごくやり甲斐を感じるものだということにも気付きました。人と付き合っていく上では、よく言われる”嫌われる勇気“を持たなきゃいけないということを身をもって実感したんです。キャプテンをやらなかったら気付けなかったことがたくさんありました」

 グループでの活動と並行して俳優の仕事もするようになっていたが、2018年に出演した作品で大きな影響を受けた。乃木坂46、欅坂46(現・櫻坂46)、けやき坂46(現・日向坂46)の3坂道のメンバーが初競演することで大きな話題となった『ザンビ』である。舞台、テレビドラマ、ゲームなどへ展開するメディアミックス作品で、菅井さんはその第1弾となる舞台に出演した。

「初舞台でした。ずっと舞台への憧れがあったので、お話をいただいた時には嬉しさでいっぱいになったのを覚えています。実際にやってみたら、“お芝居ってこんなに難しくて大変なんだ”と思い知らされました。毎日最後まで居残って稽古していましたし、稽古を終えて泣きながら帰ることもありました……そんな時間でした。でも、それがすごく楽しかったんです。これがやりたかったんだって思いました」

 『ザンビ』の演出を務めた明石明子さんの言葉が菅井さんに響いた。

「あの時は、それこそ課題が多く……。しかも一人じゃ出来ないので、みんなと力を合わせながら作っていくんですけど、すごく時間もかかりますし、毎日が乗り越えなきゃいけないことだらけでした。みんなで集まっている時に、明石さんが“今みんな大変だと思うけど、大変ということは、大きく変わることなんだ。だから大変なんだ” とおっしゃったんです。この言葉がすごく刺さったんです。この作品が終わった時に“変わったと思える自分になりたい”という気持ちになりましたし、すごくモチベーションになりました」

『ザンビ』以降も、「また舞台に立ちたいという思いがとても強くなりました」と、舞台の“沼” にハマってしまった菅井さんは、その後、演劇界の巨匠、劇作家・つかこうへいの代表的な舞台への出演を果たす。

(つづく)

菅井友香(すがい・ゆうか)
1995 年 11 月 29 日生まれ、東京都出身。T165㎝。 AB型。2015年、欅坂46の第1期生オーディションに合格。2016年、欅坂46の1stシングル『サイレントマジョリティー』でCDデビュー。2017年に初代欅坂 46 のキャプテンに任命される。 2022 年グループ卒業後は、様々な舞台やミュージカル、映像作品など女優として活動するほか、幼少期より習っていた馬術を活かし、日本馬術連盟「馬術スペ シャルアンバサダー」に 5 年連続で就任するなど活動の場を広げる。近年では、「KEIBA  BEAT」(カンテレ) 、「菅井友香の#今日も推しとがんばりき」(文化放送)、「東京 GOOD!TREASURE MAP」、「開運!なんでも鑑定団」(テレ東系)にレギュラー出演のほか、2024年1月にドラマ「チェイサーゲーム W パワハラ上司は私の元カノ」とその続編の「チェイサーゲーム W2- 美しき天女たち-」で中村ゆりかとW主演を果たす。同年5月に放映されたドラマ「ビジネス婚-好きになったら離婚します―」ではW主演を務めた。

【作品情報】
映画『怪獣ヤロウ!』
出演:ぐんぴぃ 菅井友香 手塚とおる 三戸なつめ 平山浩行 田中要次 麿赤兒 清水ミチコ
監督:脚本:八木順一朗
補助:岐阜県関市 関市映像作品撮影事業
配給:彩プロ
1月24日(金)岐阜県先行公開  1月31日(金)全国公開
(c)チーム「怪獣ヤロウ!」
公式サイト https://www.kaijuyaro.com/