ギリシャ悲劇の最高傑作、『オイディプス王』が再演される。人生の不条理をドラマティックに描くこの作品に挑む三浦涼介さん。初演で圧倒的な表現力が絶賛された三浦さんの再演への思いとはーー。また、今では多くの舞台に出演する三浦さんも「自分が演じる意味」を見い出しきれない時期があったという。様々な人や作品との出会いで変化と成長をつかんだ三浦さんの今とこれまでを聞いた。【第2回/全3回】
2002年に俳優デビュー。以降、ドラマや舞台など幅広い活躍を続けてきた三浦涼介さん。俳優としての「THE CHANGE」、転機となった出来事をうかがうと、2012年にロックミュージカル『ボクの四谷怪談』で初めて演出を受けた蜷川幸雄さんとの出会いを挙げてくださった。
「『ボクの四谷怪談』という作品で初めてご一緒させていただいて、その2年後には『わたしを離さないで』という作品にも呼んでいただきました。蜷川幸雄さんとの出会いは僕にとって大きな“CHANGE”だったと思います」
舞台『わたしを離さないで』は、カズオ・イシグロの同名小説を原作に、2014年蜷川さんの演出で舞台化され、多部未華子さんが主演をつとめた。
「それまでも、もちろん自分なりに精いっぱいやらせていただいてきたと思うんですが、お芝居に取り組むうえで、プロフェッショナルな場所に自分自身が置かれて、本当に必要としていただけているかというと、そういう実感はなかったんです。
そんな中で蜷川さんとお会いして、“お前でいいから”、“お前で歩けばいいから”、“お前のセリフ言えばいいから”と言っていただいて、自分であること、自分が演じることへの自信を少しずつ持つことができるようになりました。自信を持てずにいたときに“大丈夫だよ、そのままで”というのが、僕にはすごく大きな意味のある言葉でしたし、ああいった大きな存在の蜷川さんから優しい言葉をかけていただいたことは、大きな転機になったなと思います」