宝塚2年目、黒木さんがタイトルロールを演じた舞台での経験

――今現在は、黒木さんご自身が「人を感動させるエンターテインメントの世界」に身を置いています。実際に、「誰かの心を動かすことができた」と感じることはありますか?

「常にです。全ての作品ですね。もちろん、その都度、その都度“これでよかったのかしら”と日々、反省はあります。けれども、こうして続けてこられたというのは、観てくださるお客様、ファンのみなさまの声、支えがあったからこそです」

――実は編集担当の母が、宝塚時代の黒木さんがヒロインを務めた公演、『シブーレット』(1982年/宝塚バウホール)を一番前の席で観たそうです。

「それは、なんとも奇特な方ですね。『シブーレット』は2週間しかお稽古の期間がなかったんですよ。あの作品で初めてタイトルロールを演じました。まだ2年生になったばかりの下級生だったので、2週間ずっと徹夜のような状態で。それを乗り越えられたのだから、これから大変なことがあっても絶対に乗り越えられると思えるようになりました」

――ここ最近、ファンのみなさんの支えを感じたのはいつになりますか?

「24年9月に14年ぶりのディナーショーをやりました。久しぶりに歌って、久しぶりに踊って。そのときのライブ感と、お客様の笑顔にパワーをいただきましたね。ステージも生ですが、ディナーショーはさらに親近感があります。

お稽古は大変でしたがみなさんと時間を共有することができて、本当によかったなと。それこそ『シブーレット』があったから、今回のステージにしても、“あれが出来たのだから、乗り越えられる”と自分に言い聞かせています。とはいえ、あのときは21歳だったわけですが」

そう言って茶目っ気を含んだ笑顔を見せながら、「そうしたさまざまな経験が、自分を変えていくのだと思います。きっとね」と話す黒木さんのTHECHANGEは続く。

黒木瞳 撮影/三浦龍司

くろき・ひとみ
俳優。
これまでの映画作品において、WEIBO ACCOUNT FESTIVAL2022 最優秀主演女優賞受賞。
2023年6月公開映画「魔女の香水」では主演。
2024年14年ぶりディナーショー「for you」演出・出演。
2025年1月からはリーディングエンターテイメント「ルビンの壺が割れた」演出・出演も手掛ける。
近年は映画監督として4作品を手がけたり、 エンターテイメントの世界で幅広く活躍中。

劇場アニメ 『ベルサイユのばら』
原作:池田理代子
監督:吉田 愛
脚本:金春智子
キャラクターデザイン:岡 真里子
音楽プロデューサー:澤野弘之
音楽:澤野弘之、KOHTA YAMAMOTO
アニメーション制作:MAPPA

CAST:沢城みゆき、平野 綾、豊永利行、加藤和樹ほか
ナレーション:黒木 瞳
主題歌:絢香『Versailles - ベルサイユ - 』
配給:TOHO NEXT/エイベックス・ピクチャーズ
(C)池田理代子プロダクション/ベルサイユのばら製作委員会