「自信がないときこそ、周りの人の美点を気にしてしまっていた」

──その後、THE RAMPAGEの結成メンバーとなって芸能活動が始まりましたが。

「俳優のお仕事をいただくようになって、度胸がつきました。オーディションに合格したとはうえ、歌もまだ素人。だから戸惑うことも多かったなかで、さらにお芝居って“どうすればいいんだろう?”と。
 自分の五感を使って表現する、正解のない仕事ですから。それでも、徐々に評価していただけて怖気づくようなことはなくなって。この作品でも何度も問われる“序列”や嫉妬にも、悩まなくなりました」

──どんなきっかけがあって、思考を切り替えられたんでしょうか。

「自信がないときこそ、よけいに周りの人の美点を気にしてしまっていました。それが余計に“何で自分はできないんだろう”と落ち込むもとでした。でも“俺はこれなら誰にも負けないという武器がある”と考え方を変えると、嫉妬心もなくなって素直に他者をリスペクトできるんです」

──では吉野さんにとっての武器とは?

「やっぱり経験と度胸でしょうか。いまでも、お芝居に対していい緊張感は持っています。この『遺書、公開。』でも、池永として遺書を読むとき、手紙を開く手は緊張で震えていたんですよ(笑)。クライマックスで空気も張りつめていますし。落ち着いている風を貫いて、期待に応えられるようになったのは、心のありかたが壮大になってきたのかも」

「心が弱っているときって、気持ちのコントロールが難しいんです。自信の源があるだけで変われます」と語った吉野。17歳でスターに選ばれた日から10年あまり、嫉妬や序列から解放されたいまの境地は、クールな主人公・池永にも通じている。

吉野北人 撮影/有坂政晴

吉野北人(よしの・ほくと)
1997年3月6日生まれ、宮崎県出身。2014年に「VOCAL BATTLE AUDITION 4」に合格し、総勢16名からなるTHE RAMPAGEのボーカルに選ばれる。2017年、ファーストシングル『Lightning』でメジャーデビュー。ドラマ『PRINCE OF LEGEND』(日テレ系)で俳優デビューし、2020年初めて出演した映画『私がモテてどうすんだ』で初主演を果たした。主な映画作品には、『HiGH&LOW THE WORST X』(2022)、『MY(K)NIGHT マイ・ナイト』(2023)があり、ドラマ出演作には、『トーキョー製麺所』(TBS系)で主演、『魔法のリノベ』(フジテレビ系)、Amazon Prime Video『1122 いいふうふ』がある。2025年1月24日には2nd写真集『Orange』(幻冬舎)の発売が決定している。
ヘアメイク:大木利保(CONTINUE)
スタイリスト:吉田ケイスケ
 

映画『遺書、公開。』
2025年1月31日(金)全国公開
出演:吉野北人  宮世琉弥  志田彩良
松井奏(IMP.) 髙石あかり 堀未央奈 忍成修吾
上村海成 川島鈴遥 荒井啓志 松本大輝 星乃夢奈 榊原有那 藤堂日向 菊地姫奈 大峰ユリホ
阿佐辰美 兼光ほのか 日髙麻鈴 大東立樹 金野美穂 鈴川紗由 浅野竣哉 青島心 楽駆
原作:陽 東太郎「遺書、公開。」(ガンガンコミックスJOKER/スクウェア・エニックス刊)
監督:英勉 脚本:鈴木おさむ
企画製作:HI-AX 製作プロダクション:ダブ 配給:松竹

『遺書、公開。』 1月31日(金)全国公開  配給:松竹 (C)2024 映画「遺書、公開。」製作委員会 (C)陽東太郎/SQUARE ENIX