「この人のために頑張ろう」って気持ちになった

 僕としてはすぐに終わらせたくて、始まった頃はずっと怒っていたんですけど、気がついたら『バキ童チャンネル』のフォロワー数が30万人ぐらいになって、僕も「バキ童」って呼ばれるようになったんです。

 やっぱり「童貞」を前面に出していると、誤解されることも多かったんです。「バキ童って、(迷惑系ユーチューバーの)へずまりゅうみたいな奴でしょ」って思われてたりもして。

 そんな状況が一転したのは、2023年に、日本テレビのドラマに出てからです。『大病院占拠』というサスペンス・アクションもので主役の刑事を演じたのはなんと、『嵐』の櫻井翔さん。僕の役は捜査支援分析センターの情報分析官でしたが、これがさらに大きなステップアップにつながったんです。

 あの櫻井さんと共演している芸能人ということで、世間の見方も変わってきて、応援してくれる人も増えて、登録者数も半年で100万人ぐらいまで伸びました。

ぐんぴぃ 撮影/貴田成和

 僕自身は「撮影中に何か粗相があったら人生終わるんじゃないか」って緊張していたんですけど(笑)、櫻井さんは僕の胸中を察してかメッチャ話しかけてくれたんです。あるときに、僕が「松屋の『うまトマハンバーグ』ってめちゃくちゃうまいっすよ」って話したら、櫻井さんがロケ弁を抜いて食べに行ってくれて、後から「あれ名作ですね」って。それで、僕も一気に親近感を抱いたといいますか、「この人のために頑張ろう」って気持ちになったんです。

 こんな僕が、今度は『怪獣ヤロウ!』って映画で主演を務めさせてもらうことになりました。

 最初に話を聞いたのは、阿佐ヶ谷のバカ狭くてバカ安いけど焼き鳥がメッチャうまい居酒屋で、そんなところで聞かされた話だったから、最初は「嘘つけ〜」って思ったんです。

 確かに僕のユーチューブの登録者はたくさんいるけど、あの人たちが動画を見てくれるのは無料だからで、わざわざ2000円も払って観に来てくれるワケないだろって、断わったんです。でも、何度か説得されているうちに、ドラマでよくある、何もしていないのに取調室で刑事に「やりました」って自白してしまう人みたいな気持ちになって(笑)「出ましょう」ってことになったんです。 

 主演って言ったら座長ですよ。とはいえ、俳優としたら一番ペーペーだから、偉ぶらないっていうのは肝に銘じていました。逆に、先輩方からはアドリブのやり方とかお芝居の感じとかは教えていただけました。そして、櫻井さんを見習って、とにかく明るく、積極的にみんなに話しかけようとは努めていました。

(つづく)

ぐんぴぃ
1990年3月31日、福岡県出身。T176センチ。 2019年に受けた街頭インタビュー動画がネットで話題を呼び、ユーチューブチャンネル登録者は170万人を超す人気者になる。その一方でテレビやラジオにも数多く出演。ドラマ『大病院占拠』(2023年)と『新空港占拠』(2024年、ともに日本テレビ系)では情報分析官・志摩蓮司役を演じ、その存在感と演技力が評価された。現在放映中のドラマ『ノロイヲアゲル』(テレビ東京系)に椎名一樹役として出演中。公開待機作に『お嬢と番犬くん』(3月14日公開予定)がある。

映画『怪獣ヤロウ!』
岐阜県関市の観光課職員の山田一郎(ぐんぴぃ)は市長から“ご当地映画”の製作を命じられる。そこで山田はかねてからの夢だった「怪獣映画」の製作を思いつく。市長の秘書である吉田麻衣(菅井)のバックアップもあってプロジェクトは始動するが……。
出演 ぐんぴぃ 菅井友香 手塚とおる 三戸なつめ 平山浩行 田中要次 麿赤兒 清水ミチコ
監督・脚本:八木順一朗
配給:彩プロ
(c)チーム「怪獣ヤロウ!」