国民的子役として大ブレイクした鈴木福さんも、いまや20歳。2月7日公開の映画『野生の島のロズ』では、子どもから巣立ちまでの困難に満ちた成長過程を見せてくれる雁の声優を務める。自身も子役から俳優へとCHANGEしたが、その背景には鈴木さんの背中を押す“言葉”があったのだ。【第1回/全3回】

鈴木福 撮影/三浦龍司 ヘアメイク/堀川知佳、スタイリスト/作山直紀

 落ち着き払ったまなざしで、静かに頭を下げる。昨年6月に20歳を迎えたばかりの鈴木福さんは、テレビの画面で見る以上に成熟した雰囲気をまとっている。が、撮影が始まると一転してスタジオのBGMに乗せ軽快に体を揺らし、無邪気で自由な一面も覗かせる。

 昨年は磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~ (WOWOW)や『科捜研の女season24』(テレビ朝日系)など4本のドラマに出演し、朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)では木曜パーソナリティを続け、2月7日より全国公開の映画『野生の島のロズ』では、綾瀬はるかさんが吹き替え声優を務める主人公のロボット・ロズに育てられる雁(がん)の子・キラリの声優を担当するなど、幅広く活動している。

 いまやもう、“福くん”と呼びたくなるような子役のイメージはすっかりない。鈴木さん自身も、"子役”から“俳優”へとCHANGEした瞬間のことを覚えていた。

「中学2年生の終わりですね。ある映画に出演したときでした」

 中学2年生という時期のことを、鈴木さんは「子役と大人の俳優のはざま」と評する。

「子役というには大きいし、俳優と呼ぶにもちょっと若いよね、という年齢なんです。それで当時は、“子役なんですか? それとも俳優ですか?”と聞かれたとき、“皆さんが思った通りでいいですよ”みたいなことを言っていました。

 その頃出演した映画のとあるシーンで監督さんを怒らせてしまったんです」

 監督は鈴木さんにこう言ったという。

「もう子役じゃないんだから」

「監督さんのその言葉を聞いたとき、“僕は俳優になるための努力をなにもしてこなかったな”ということに気づきました。自分が“俳優”と名乗ったときに恥ずかしくないようにならなきゃいけないのに、そんなこと、なにも考えていなかったな、と」