ドラムヴォーカリストという枠を超えて、モデル、俳優としても活躍するシシド・カフカさん。近年では自らが主宰する音楽イベント「el tempo」ではコンダクターを務め、今年は堺正章さん、「ゴダイゴ」のミッキー吉野さんらとバンド「堺正章to MAGNETS」を組んだりと、実に精力的な活動を繰り広げている。そんなシシドさんの人生におけるCHANGEを聞いてみた──。【第3回/全4回】

シシド・カフカ 撮影/冨田望 スタイリスト/多木成美 ヘア/MAYUMI メイク/SAKURA

 ミュージシャン、俳優、モデルと幅広く活躍するシシドさんだが、音楽活動の次に始めるようになったのはモデルの仕事だった。

「最初にやっていたのはヘアモデルです。美容室の実験台になりつつ、ヘアの特集があると駆り出されていくというのがメインで、基本はサロンモデルでしたね。自分の表現を知るためとかではなくて、ただ単純に美容室代がタダになるからとか(笑)、そんな感じでした。その繋がりから、たまたまファッションショーでモデルさんが出られなくなって穴が開いたときにランウェイのモデルをやらせてもらったこともありましたけど」

──あるインタビューで「モデルとして当初はランウェイを歩くのは抵抗があった」とお話しされていましたが……。

「それは2012年にドラマーとしてデビューした後の話ですね。やっぱりランウェイを歩かせていただくというのは、サロンモデルの次元の話ではないじゃないですか。モデルが本業でない私みたいな人間が歩くというのはどうなんだろうって思ったんです。多くの人がそこの席を狙っているけど、席の数は決まっている。例えば、音楽のフィールドに女優さんやモデルさんが入ってきて歌うのって、音楽をやっている私からしたらあまりいい気持ちはしないんです。“その席取らないでよ!”って思っていたので。だから、同じことをしたくなかったということもあり、私は音楽だけで良いですってずっと言っていました」