14歳でデビューしてから今年で20周年。しなやかに役者を続けてきた北乃きいだが、誰かにライバル意識を抱いたり、嫉妬にかられたことはないという。また、いまでも芸能界の外でかなえたい夢があると話す、自分を見失わずに生きてきた北乃のTHE CHANGEとは──。【第1回/全4回】

北乃きい 撮影/有坂政晴

 取材の場に、ベレー帽とメガネやオレンジのインナーを合わせ、チャーミングな装いで現れた北乃。その瞬間、空気がパッと明るくなった。

「衣装がかわいくて、毎日テンションが上がる現場でした。普段着ている服はモノトーン系が多いので、正反対なんです」

 2025年、北乃が新しく演じるのはキャンドル作りに魅了された1人の女性。1月から放送中の、福島を舞台にした1話完結のオムニバスドラマ『風のふく島』(テレビ東京系)の第6話の主演として登場する。

 演じる主人公・朝比奈三咲(あさひな・みさ)は、仕事に悩みを抱えるなか、キャンドル作りに魅了され福島県飯館村に移住する。移住前の会社員時代は、ふさぎ込みがちで“氷のお姫様”と呼ばれていた──。

「三咲は、本質的には芯が強くて、前向きな女の子なんです。ただ、物語のはじまりではそれをなかなか表に出せず、自分のやりたいことを見つけられなくてもがいていて、いろいろな人と出会うなかで前向きになっていく……。
 実は撮影は、全て3日間で撮り切ったんです。その変化していく様子を、限られた日数のなかで表現していくのがなかなか大変でした(笑)。ぎゅっと凝縮して臨みました。幻想的なドラマとして、どんなふうに完成しているのか、私もオンエアが楽しみです」