近年は大学に進学したことや研究者としても知られる俳優のいとうまい子さん。常に新しいことにチャレンジし続け、「40代からどんどん楽しくなった」と話すいとうさんのTHE CHANGEとは。【第4回/全4回】

いとうまい子 撮影/三浦龍司

 テーブルに置かれた砂時計を手に取ると、「あら、タイムリミットがあるの?」とおどけるように笑いかけるいとうまい子さん。弊メディアのシンボルだと伝えると、「そうなんですね!」と言いながら砂が流れるのを見つめる。アナログな砂時計に釘付けのいとうさんだが、44歳で大学に進学。3年生のときに選んだゼミは「ロボット工学」であり、砂時計とは正反対のデジタルな領域だ。

「大学に入ったときは予防医学を学んでいましたが、ゼミを決めようというとき、予防医学の先生が定年退職でいなくなると聞きまして。それで20歳くらいの通学生の子に相談したら、“ロボット工学のゼミはどうですか”と勧められたんです。それまでプログラミングの授業などなんにも受けていないし、一瞬悩みました」

 それでもロボット工学へと背中を押したのは、過去の自分だった。

「芸能界に入ったときは、“周りに流されないぞ!”という強い信念を持っていましたが、その信念が強すぎて摩擦も大きくて地獄に落ちました。辛い日々を過ごしたので、“次になにか新しいことを始めるときは素直に誰かのアドバイスを聞こう”と決めていたんです。それでまったくわからない領域だけど、ロボット工学のゼミに決めました」