ロボット工学のゼミにいた観点から思うこと

 いとうさんは予防医学の観点から、ロコモティブシンドローム(運動機能が低下し「立つ」「歩く」など日常生活での機能が制限される状態)を予防するロボットの開発に携わることとなった。その後開発に関わった介護予防ロボット「ロコピョン」が「2019国際ロボット展」に展示されるなど、驚きの実行力を見せることとなるのだ。

 そして現在。最新型アシスト・ロボットのロズが主人公の映画『野生の島のロズ』(2月7日より全国公開)で吹き替え声優を務めることで、「私がロボット開発に携わっていなかったら、オファーをいただけなかったかもしれない」と、作品との親和性を感じているようだ。

「ロズは本当にすごいロボットです。こんなのは作れません(笑)。だって、今あるロボットってもうコードが山ほどくっついて動いているんですから。ロズは自家発電してこんなに動けるし……」

ーーロボットの仕組みをしっているからこそ、ロズのすごさがより伝わるんですね。

「いやあ、すごいですよ。でもね、人の願望って形になっていくんです。願望がないものはなにも形にならないけれど、人が願望を抱いて想像するからこそ、形になる。ロケットを飛ばした人だって、最初は願望で、飛ばなくてもどんどん飛んでいくようになる。誰かの願望があれば、それは形になる、ということなんです。だからロズだって、きっと近い将来……30年くらいかかると思うんですが、そういう未来が来るかもしれません」