保護した猫の表情が作中のキャラとリンクして見えた

 本作の見どころは、そうしたテクノロジーと手つかずの野生の共存と、徐々に育まれる両者の絆。いとうさんは、ロズが出会い育てることになる雁(がん)の子・キラリの巣立ちのシーンで「すごく泣いてしまった」と話す。

「実は私の家に、昨年3月に保護した猫が2匹いるんです。震災に見舞われた、石川県珠洲市の倒壊した家で飼われていた子を引き取らせてもらって。同時に八丈島で保護された子もうちで引き取りました。引き取ったとき、珠洲市の子は11歳で、八丈島の子は3ヶ月でした。八丈島の子はハチという名前なんですが、表情がキラリにすごく似ているんです。それでより一層グッときてしまいましたね」

 生き物とロボット、その両者と身近に接しているいとうさんだからこそ、より生きることの尊さを意識できるのではないだろうか。

いとうまい子 撮影/三浦龍司

いとう・まいこ
1964年8月18日生まれ、愛知県出身。83年に「1億人のクラスメイト」とのキャッチコピーで歌手デビュー。翌年、ヒロインを演じたドラマ『不良少女とよばれて』(TBS系)が高視聴率を記録した。ドラマや映画だけでなくバラエティでも活躍。芸能界でいち早くインターネットを活用し、2010年には早稲田大学に入学、現在は早稲田大学大学院に研究生として所属し、抗老化学を研究中。25年度より、情報経営イノベーション専門職大学の正教授に就任予定。また2021年に内閣府の教育未来創造会議の構成員に選任され、同年には株式会社タスキ社外取締役、さらに22年に株式会社リソー教育社外取締役に就任するなどマルチに活動している。

『野生の島のロズ』
監督・脚本:クリス・サンダース
製作:ジェフ・ハーマン
音楽:クリス・バワーズ
原作:「野生のロボット」福音館書店刊(ピーター・ブラウン作・絵、前沢明枝訳)
配給:東宝東和、ギャガ
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日本語吹替えキャスト:綾瀬はるか(ロズ)、柄本佑(チャッカリ)、鈴木福(キラリ)、いとうまい子(ピンクシッポ)
千葉繁(クビナガ)、種﨑敦美(ヴォントラ)、山本高広(パドラー)、滝知史(サンダーボルト)、
田中美央(ソーン)、濱﨑司(赤ちゃんキラリ)