お客さんの反応が見えないというのは、すごく孤独な作業

 田中征爾監督からは感情の出し方の部分でアドバイスを受けましたね。涙を浮かべるシーンがあってチャレンジしてみたのですが、なかなか人前で涙を流すのは思っていた以上に難しくて……結局、目薬を(笑)。スタッフさんが目薬を持ってきてくれたときは恥ずかしかったですね。

(c) 2024 映画「死に損なった男」製作委員会

 今回は構成作家という役でしたが、本業のコント以外にも脚本や小説の仕事をさせてもらっています。やはり、目の前にお客さんがいるか、いないかっていうのはすごく違います。

 舞台でコントをするときは、ここはウケたな、ここはウケなかったなって、お客さんの反応がすぐに分かるんですよね。それを見て、いろいろと調整ができるんですが、映画や小説だと、お客さんが目の前にはいないので、舞台とは違った難しさがあります。お客さんの反応が見えないというのは、すごく孤独な作業でもあるんだなと感じました。

 僕には、単独ライブだけで生活するという、コンビ結成時から掲げる目標があります。自分が一番面白いと思うことを制限なくやれて、お客さんに笑ってもらう。それを全国あらゆる場所に行ってやれるというのが理想です。

 他の目標で言うと、ちょっと前に、ラジオで死ぬまでに紅白に出られたら出たいよねって話をしたんです。そしたら、リスナーの人が曲を書いて送ってくれて……。紅白と甲子園は「出られたら最高だよな」と思いながら、ずっと見てきました。甲子園はもう無理ですが、紅白はまだ可能性としてはゼロじゃないかなと。やっぱり、日本人としては紅白に出られたら最高だと思います。もちろん、出場するなら歌手としてですよ(笑)。

水川かたまり(みずかわ・かたまり)
1990年7月22日、岡山県生まれ。NSC東京校第17期生として入学し、2012年に鈴木もぐらとお笑いコンビ『空気階段』を結成。『キングオブコント2021』王者。17年から放送しているラジオ番組「空気階段の踊り場」(TBSラジオ)に出演中。22年にはドラマ『君のことだけ見ていたい』(Hulu)の脚本を手掛ける。俳優として『妻、小学生になる』(TBS系)や『罠の戦争』(フジテレビ系)など数々のドラマに出演。

映画『死に損なった男』
構成作家の関谷一平(水川かたまり)は人生に疲弊し、駅のホームから飛び降りようとするが、隣の駅で人身事故が発生。タイミング悪く死に損なった一平の前にその人身事故で死んだ男・森口(正名僕蔵)の幽霊が現れ、ある依頼をする……。
出演:水川かたまり 唐田えりか 喜矢武豊 堀未央奈/正名僕蔵
監督・脚本:田中征爾
2月21日(金)より全国公開
配給:クロックワークス
(c)2024「死に損なった男」製作委員会
公式サイト: https://shinizokomovie.com/