昨年、結成20周年を迎えたヴィジュアル系エアバンド「ゴールデンボンバー」(金爆)。ステージ狭しと繰り広げられる、ある意味“邪道”ともいえるお笑いで魅了するパフォーマンスは唯一無二ともいえる。ギター担当の喜矢武豊さんは近年はバンド活動とは違う俳優というステージでドラマや舞台で活躍中で、2月21日に公開される『死に損なった男』ではDV夫役を演じ、役者としての新境地を見せている。そんな喜矢武さんにとってのCHANGEとは──。【第2回/全3回】

喜矢武豊 撮影/冨田望 スタイリスト/藤井やすのり ヘアメイク/柳下綾音

 エアバンド「ゴールデンボンバー」でギターを担当する喜矢武豊さん。ミュージシャンとしてパフォーマンスを繰り広げる一方で、個人としては俳優としても活動をしている。そのデビュー作は2012年に公開された映画『死ガ二人ヲワカツマデ』。しかも主演作だった。

「当時、マネージャーには“俳優やってみたいな”ぐらいの感じで言ってた気はするんですけど……。『女々しくて』が当たってゴールデンボンバーの知名度も上がったので、誤解を恐れずに言えば“客寄せパンダ”的な感じなんじゃないかと思っていました。数字が取れる見込みがあるんじゃないかと思って、声をかけてくれたんじゃないのかなって認識でした」

 その後は舞台やドラマにも出演を果たし、俳優としてのキャリアを確実に積んできている。そして今回、映画『死に損なった男』に出演を果たした。本作で主演を務めるのは、空気階段水川かたまり

(c) 2024 映画「死に損なった男」製作委員会

 報われない日々に疲弊した構成作家の関谷一平(水川)は、駅のホームから飛び降り自死を図ろうとするが、隣駅で起こった人身事故によりそのタイミングを逃してしまう。そんな関谷の前に、その人身事故で死んで幽霊になった男・森口(正名僕蔵)が現れ、「娘の綾(唐田えりか)に付きまとう男を殺してくれないか」と、とんでもない依頼を持ちかけてくる……という物語だ。喜矢武さんが演じるのは綾の元夫でDV男の若松克敏。

「これまでは、どちらかというとバラエティ班というか、おちゃらけた役が多かったんです。だから、元DVの夫役って聞いた時は“僕なんかで良いのかな、務まるのかな”って思いましたね。非常にシリアスな役だと思ったので。でもその一方で、色々な役に挑戦したいとは常に思っている自分がいて。悪役もやってみたいと思っていたタイミングでもあったので、ありがたかったです」