主演の水川かたまりは良い意味でヘン

 2回目は森口の家、綾の目の前だった。このとき関谷は包丁を持っており、若松は(なぜか)熊手を持っての決闘であった。

「もちろん、包丁も熊手も本物じゃありませんよ。本物を使ったらさすがに死にますから(笑)。撮影前にプロの殺陣師の方の指導はありました。外でのシーンは練習しましたが、動きは別の日に撮ったんです。家の中のシーンはぶっつけに近かったですね。もうお互いに割と本気に近かったといいますか、取っ組み合って転がった時の動きも、その時のテンションによって変わってきますし。かたまりさんは疲労困憊な感じで、この人大丈夫? もう直ぐ死ぬんじゃないか、それこそ死に損なった感じでした(笑)。もちろん僕も疲れましたけど、かたまりさん程じゃなかったです。普段ライブやったり、趣味でパルクールやサッカーとか運動しているので、思ったよりも大丈夫だったのかなとは思います」

 ──関谷を演じた水川かたまりさんはご一緒されて如何でしたか。

「良い意味でヘンって言うんでしょうか。かたまりさんにしか出来ない佇まいとか、出せない空気感とか……、唯一無二というか面白いんです。それと、後で気付いたんですけど、かたまりさんメチャクチャ瞬きしているんですよ(笑)。そんなことさえも良い味になっているというか、見ていて飽きないんです(笑)」

(つづく)

喜矢武豊(きゃん・ゆたか)
1985年3月15日生まれ、東京都出身。ヴィジュアル系エアーバンド、ゴールデンボンバーのギターを務め、同バンドの代表曲『女々しくて』で紅白歌合戦に4回出場している。俳優やタレントとしても活躍しており、2012年『死ガ二人ヲワカツマデ…』で映画主演デビュー。2013年、ドラマ『ビブリア古書堂の事件手帖』でドラマ初出演。2015年には初舞台「ふしぎ遊戯」で主演の鬼宿を演じるなど、活躍の場を広げている。スポーツ・エンターテイメント番組「SASUKE」(TBS系)には2015年より計8回の出場を果たしている。今年は劇団☆新感線45周年興行・初夏公演「いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』」への出演が決まっている。公開待機作に『ザ・ゲスイドウズ』(2月28日公開)がある。

【作品情報】
映画『死に損なった男』
出演:水川かたまり(空気階段) 唐田えりか 喜矢武豊(ゴールデンボンバー) 堀未央奈 森岡龍 別府貴之(マルセイユ) 津田康平(マルセイユ) 山井祥子(エレガント人生) /正名僕蔵
監督・脚本:田中征爾
コント監修:板倉俊之インパルス
配給:クロックワークス
2月21日(金)より全国公開
(c) 2024「死に損なった男」製作委員会
公式サイト https://shinizokomovie.com/