『エリザベート』、『モーツァルト!』など数々の名作に出演するミュージカル界のトップ俳優であり、多くのテレビドラマに出演。音楽番組やバラエティ番組でも活躍を見せる山崎育三郎さん。彼が長年抱いていた「日本のオリジナルミュージカルの制作」という夢を実現させる日がやってくる。12歳でミュージカルデビューを果たし、その後29歳で迎えた大きな転機。ミュージカル界とテレビメディアの橋渡し役として果たしてきた役割や、『昭和元禄落語心中』における「助六」という役との出会いなど、チャレンジングな日々を力強く、そして軽やかに語ってくれた。【第1回/全4回】

山崎育三郎 撮影/三浦龍司

 戦前から平成に至る落語界を舞台に絡み合う人間模様を描いた『昭和元禄落語心中』は、2018年にNHKでドラマ化。山崎さんは助六を演じ話題となった。ドラマの撮影中から「この作品はいつかミュージカルにしたい」という思いが沸き上がっていたという。

「作品自体が役者を引き上げてくれる作品というものがあって、この『昭和元禄落語心中』はまさにそうだったと思っています。撮影現場で自分がどうこうしなくても自然と作品の世界に誘ってくれる、助六にしてくれるという感じでした。撮影のときから、自分の中で“これをいつか舞台にしたい”、という思いが沸き上がっていて、そこから7年経ってずっと温めていたものが形になるというのは素直に嬉しいことですね」