12歳でミュージカルデビュー、主演を務めた
そして、山崎さんが「日本のオリジナルミュージカル」に対する強い思いはさかのぼれば、12歳のときの初めてのミュージカル体験が大きかったともいう。
「1998年のミュージカルデビューが、小椋佳さんオーディションで選んでいただいた作品なんですが、小椋さんが“日本のオリジナルミュージカルを作りたい”という思いで始められたプロジェクトだったんです。そこでゼロからミュージカルを作るというのを体感して、そこが自分の原点で、それは当時の僕にとって衝撃的でした。
その頃、野球をやってるのが一番楽しいっていう時期だったんですが、人前に出るのが苦手な子どもだったんです。とにかく注目されるのが苦手。母親もすごく心配していて、“何かこの子に自信をつけさせたい”ということで小学3年生から音楽教室で歌を習うことになるんですけど、どうしても“自分”として歌うのがすごく恥ずかしいという思いは拭えなかったんですよね。
そこで初めて小椋さんのミュージカル作品に飛び込むことになって、“自分”ではなく“役”として歌うという機会を得た。そのときに、初めてしっかり呼吸ができるというか、自分らしくいられるというか、本当に自分を解放できたんですよね。自分じゃない何かになって歌うという気持ちよさ。それがとても大きな出来事で、カーテンコールでお客様がワーッと拍手してくださったときには、涙が止まりませんでした。こんなに素晴らしい場所があるんだと思って、これでやっていこうと思えた瞬間でした」