一流の声優さんたちの邪魔だけはしないように

 今回で山里が声優を務めるのは、しまじろうたちが暮らす“ちゃれんじじま”にやって来た劇団員・ペンギンのぺぺ。

「見た目がすごくかわいらしいキャラクターなので、こんなガサガサした声で大丈夫だろうか……と、お話しをいただいたときはすごく心配でした。しかも、ぼくは声の大小くらいしか変化が付けられないから、一流の声優さんたちの邪魔だけはしないように、作品を観てくれる子どもたちの笑顔を1ミリだって減らす要因にならないようにと、一生懸命にやらせていただきました」

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 この作品のゲスト俳優は、山里の他、同じ〝山ちゃん〟のニックネームで親しまれる声優界のレジェンド山寺宏一も。

「山寺さんとは『おはスタ』という番組でご一緒したことがあって、どうやら同じ〝山ちゃん〟という呼び名が不本意らしいんですね(笑)。だから山寺さんはぼくのことを頑なに“南海ちゃん”って呼ぶんですよ(笑)。ぼくは“兄さん”と呼ばせていただいているんですけど、声優としての兄さんは、もうとんでもなくすごいです。神様みたいなものです。しかも、あれだけの天才が、いつもキャラクターを演じることが不安だって言うんです。あの山寺宏一がですよ!? だから、不安を振り払うために極限まで努力をし続ける。そんな人と同じ作品で声優を務めるなんて、プレッシャーでしかないですよ」

 ふたりの“山ちゃん”の共演も、映画しまじろう『しまじろうと ゆうきのうた』の見どころのひとつだが、声優として、作品を観る子どもたちと同世代の娘の父親としての見どころは?

「しまじろうの映画は、すごく楽しめるのと同時に、自分が悩んだときの解決方法が、お説教っぽくなく織り込まれているんですね。たとえば、最初の方で、しまじろうが困っている人に対して“ぼくたちに何かできることはありませんか?”というんですけど、娘もしまじろうみたいに、誰かのために何かをするということが自分もうれしい、と思える子になってほしいと思いました。自分が何かをすることで、誰かが笑顔になる。その人が笑顔になると、その先にはもっとたくさんの人の笑顔がある……すごく素敵なことですよね」

 山里亮太……山ちゃんがおもしろいことをしてくれると、見ている人は笑顔になる。その笑顔は、その人と一緒にいる人も幸せにする。

 しまじろうと山ちゃんはきっと、同じ魂を持っている。

山里亮太(やまさと りょうた)
1977年4月14日生まれ。千葉県出身。関西大学3年のときに、吉本興業のタレント養成所「NSC大阪校」に入学。2003年、しずちゃん(山崎静代)とお笑いコンビ「南海キャンディーズ」を結成し、司会、ナレーション、俳優など幅広いジャンルでも活躍中。声優として主な出演作は『ONE PIECE STAMPEDE』(2019年)、『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』(2023年)、『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』など。

●作品情報
映画しまじろう『しまじろうと ゆうきのうた』
公開中
声の出演:南央美 高橋美紀 山崎たくみ 鈴木真仁 稲葉実
ゲスト声優:ファイルーズあい 山寺宏一 岡村明美 山里亮太(南海キャンディーズ)
主題歌:「ゆうきのうた」小野あつこ
公式サイト: https://kocha.benesse.ne.jp/kodomo/open/movie/2025/