グループ活動を終えてたどり着いた答え
──欅坂46を卒業したとき、芸能活動は考えていなかったようですが、いまの活動に至るまで、どんな心境の変化はありましたか?
「表現することは好きだったので、少しずついろいろなお仕事に触れていきました。お芝居で感じたのは、アイドル時代と違って、見せたい瞬間だけを切り取ることができないんです。自分が見たことない顔やアングルで撮られたりするので“なんて変な顔してるんだ!”と、最初は恥ずかしさでいっぱいでした。それを克服するところから始まって、作品ごとのチームのみなさんの連帯感に助けられて、少しずつ強くなれたと思います」

──エッセイ『たゆたう』の中で、「芝居は嘘をつき続けないといけない」とつづっていました。どんな感覚で演じているのでしょうか。
「お芝居は、究極の俯瞰(ふかん)だなと思っていて、それが難しさでもあります。自分の顔や身体は、普通に生活していたら見られません。例えば何かに夢中になっているときでも、洗脳されているときでさえも。お芝居は、そんな自分を一度切り離して遠くから見て、身体で再現していく作業が私には必要でした。自分の内面を掘り下げていくのとは、また全然アプローチが違います」