新しいアルバムにも当時の思いが反映されている
そして、この時の経験は制作中の新作にも活かされている。
「大勢の人の中で生きてると気付かない“人の大切さ”だったり。周りの人によって生かされてるということだったり。そういうものに敏感になることができた。3月に新しいアルバムをリリースしたんですが、 そのアルバムの中にもメッセージとしてその時の思いが込められてるんです。
そのときに出来た 『いきづく』という曲があるんですが 、裏山にある丘の上で一人でボーっと休憩時間に何にもしないで過ごしていた時間があったんですけど、丘の上でただただ時間が過ぎて、そこで風が吹いて、花がパッと揺れて、風に命が見えたような気がしたんです。

自分の心はどこにあるのか探している中で、人の影響で自分の心に気付くことはある。他から吹いてきた風で自分の命に気づいていく、というような。それは音楽という見えないものを、自分たちが発して誰かが聴いてその人に当たって、そこでまた新しい何かが生まれる、ということにも通じるのかな、とか。
まぁそういういろんなことを静かに考えることができたのが、岡山での日々だったんです」
そこで得た思いが「人は一人では生きていけない」という思いだった。
「人は一人では生きられないというのは、当たり前のような言葉ですけど、一人でも生きられるけど、生きている気がしない、というのが正確なのかもしれない、って思っています」