2001年、大学時代に知り合った岸学とお笑いコンビ「どきどきキャンプ」を結成し、デビュー。現在は、芸人活動の一方で、放送作家、トイレ・掃除専門家など幅広く活躍する佐藤満春のTHE CHANGEとはーー。【第2回/全2回】

佐藤満春 撮影/角田忠良

 放送作家の仕事に主軸を置きましたが、作家としての仕事がぽつぽつ入り始めた32歳頃が、人生で一番つらかったです。

 特に『スッキリ!』(日本テレビ系)の初期は大変でした。周りの「誰? 芸人? 芸人に作家ができるの?」という空気が、口に出さずとも態度で分かるんです。配属されたニュース班では、原稿を書こうにも「芸人がニュースなんて分かるわけがない」という視線が刺さり、居場所がなく、あいさつもされず、端っこにいて誰にも声をかけられない日々が続きました。吐きそうになりトイレに駆け込むこともよくありました。

 でも、当然なんです、信頼されていないんですから。それでも続けられたのは、それでメシが食えていたし、子供が生まれたばかりだったから。やめる理由がありませんでした。結果、始発電車に乗り6時に日テレに入る生活は12年続きました。

 芸人仲間のオードリーがラジオを始めていなければ、僕はラジオの仕事はやっていないでしょうし、奇跡的なめぐり合わせでした。今まで、そうした運や縁に助けてもらいながら、チャンスをもらい体験して、積み重ねてきたんだなと実感します。

 今の仕事の割合は、放送作家が大部分を占めています。現時点でラジオの仕事は7本、テレビは8本です。『スッキリ!』初期に信頼を得られなかった人たちとテレビ局内ですれ違うこともあります。すると、深々とお辞儀をされます。その瞬間、僕は歯を食いしばりながら「あのときはいろいろ経験させていただきありがとうございます」という思いを込めて、相手と同じくらい深々とお辞儀をします。僕の嫌なところです (笑) 。

 仕事が順調で、調子に乗ってしまうことはないかと言われると、僕の場合はないです。僕、自分の実力やセンスを信じていないんです。こう言ってしまうと、今僕を信頼してくださって仕事を共にしている人たちに失礼かもしれませんが、自分自身のことはいつも疑っているんです。だからもしも、センスが合わないと感じて、僕に見切りをつけた人がいたとしても、別にいいです。これまで積み重ねた仕事の経験値は、嘘をつかないので。