「つまらない人間になると思った」柔軟でしなやかな感性の根底にあるもの

 そう気持ちを切り替えられたのは、とあるきっかけがあったようだ。

「俳優として仕事をし始めたころは、スタッフさんがほとんど年上だったんです。でも、年齢を重ねていくうちに、マネージャーさんや、スタッフさんが自分より年齢が下になってきたんですよね。
 そのときに、ここで私が意地を張っていても意味がないなと思ったんです。なによりも、若い人たちの感覚についていかないと、つまらない人間になると思ったんですよね。それからは、わからないことは頼るし、助けてもらいながら、ちゃんと吸収しようと思うようになりました。頭の固い中年にはなりたくないですからね(笑)」

板谷由夏 撮影/有坂政晴

 板谷さんがいま、目指すのは“面白い大人”。それは、過去に接してきた大人が見本になっているからだと話す。

「当時はラッキーなことに、周りに面白い大人が多かったんです。いい意味で不良で、子どものように好奇心があって、自分勝手なところもありながら、仕事だけはちゃんとしているという、やんちゃな大人がとてもカッコよく見えていたんですよね。私もそうありたいと思い、つねに柔軟でいることを心掛けています」