羽田美智子が感じる『熱海五郎一座』が持つ唯一無二の魅力とは
「『熱海五郎一座』って、緊張しないで見られる舞台なんです。舞台を見に行くときって、どうしてもどこか身構えたり、緊張したりするじゃないですか。『熱海五郎一座』は、劇場に入るときからリラックスして、全体が柔らかい空気に包まれている。あの空気感がたまらなくいいなと思うんですよね。
幕間(まくあい)にお弁当を食べたり、アメをなめながら、楽しく見ていて、それがいつしかクギ付けになって、声を出して笑ってしまう世界。ずっと三宅さんたちが真摯(しんし)に作ってこられた空間だと思うんですけど、あの世界に入れてもらえるというのは夢のようだなと思います」
昭和の喜劇の空気感を持ちながら、決してノスタルジックなわけではなく、現代性が取り入れられているのも魅力だ。
「革新的なことが取り入れられるんですよね。時事ネタが入ってきたりする。都知事選の前だと都知事役が出てきたり(笑)。そのときの話題を笑いに変えていくんです。そういう風刺も軽演劇のなせる業かなと思いますね」
その「軽演劇」、「喜劇」の世界は羽田さんにとって新しい挑戦。
「伊東さんも“喜劇は一番難しい芸術だよ”ということをおっしゃっていて、本当にそうだよなと思います。私も女優の仕事を30年以上やってきて思うのが、泣く芝居よりも、笑う芝居のほうが難しいんですよね。
緊張感がないと笑えないし、かといって緊張しすぎてると笑えない。ちょっとした間で変わってきてしまう。でも、そこはもう三宅さんがいらっしゃって、大好きな大先輩ばかりなので、身をゆだねて、学べるところは学んで、あとは教えてもらいながらやっていけばいいのかなと思っています」
(つづく)
羽田美智子(はだ・みちこ)
1968年生まれ、茨城県出身。映画『RAMPO』(1994)のヒロイン役に抜てきされ、翌年、同作品で日本アカデミー賞新人俳優賞ならびにエランドール賞新人賞を受賞。また1996年には『人でなしの恋』(1995)で、優秀主演女優賞を受賞。以降は『サラリーマン金太郎』(TBS系)『おかしな刑事』『警視庁捜査一課9係』『特捜9』シリーズ(ともにテレビ朝日系)、『花嫁のれん』(東海テレビ)など、長く続くテレビドラマのヒット作に出演している。2025年6月2日より、舞台熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第11弾『黄昏のリストランテ ~復讐はラストオーダーのあとで~』への出演が控えている。
東京喜劇 熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第11弾『黄昏のリストランテ ~復讐はラストオーダーのあとで~』
作:吉高寿男
出演・構成・演出:三宅裕司
出演:渡辺正行 ラサール石井 小倉久寛 春風亭昇太 東貴博(交互出演) 深沢邦之(交互出演) 劇団スーパー・エキセントリック・シアター
ゲスト:羽田美智子 剛力彩芽
2025年6月2日(月)~6月27日(金) 新橋演舞場
公式サイト:https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202506_atamigoro2025/