三宅裕司さんが座長を務める熱海五郎一座『黄昏のリストランテ~復讐はラストオーダーのあとで~』に出演する羽田美智子さん。喜劇への挑戦は、新たな「CHANGE」だという。ドラマ『おかしな刑事』(テレビ朝日系)で20年余り親子を演じた伊東四朗さんも、昨年この舞台にゲストとして出演した。

羽田美智子 撮影/有坂政晴

 撮影現場で垣間見た伊東さんのすごみ。さらに、これまで共演した野際陽子さんや渡瀬恒彦さんなど、レジェンド俳優たちとの日々などを語ってくださった。仕事もライフスタイルも変化を恐れず、むしろそれを成長の機会としてとらえる、羽田さんの前向きな姿勢が輝いていた。【第2回/全4回】

 羽田さんが出演する『熱海五郎一座』。この一座は、伊東四朗さんが座長の『伊東四朗一座』からはじまっており、その後の公演で伊東さんが参加しなかった際に、「伊東」を「熱海」に、「四朗」を「五郎」として結成されたのが三宅裕司率いる『熱海五郎一座』である。

 東京の喜劇界を長年にわたって支えてきた伊東さん。そんな伊東さんと、ドラマ『おかしな刑事』(テレビ朝日系)で、20年以上にわたり共演してきたのが羽田さんだ。

「伊東さんは俳優としてもう超越しすぎていて、なにもかもすごい方なんですけど、そういう美辞麗句をいやがる方なんですよね。伊東さんのお芝居で感動した場面はいくつもあるんですけど、いつも思い出すのは、『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日系)でのシーン。
 伊東さんが演じる鑑識の猪狩さんが、定年を機に、スペインに住む娘のところに行くシーンで。伊東さんが“君と会うのも最後だな”と言って、背中で手を振って去る瞬間に、私号泣しちゃったんです。そしたら横にいた津田寛治さんも号泣していて。
 こういう背中だけで泣かせるって、すごい俳優さんだねって、津田さんと話したのを覚えています。何気ない一瞬なんですけど、その一瞬で説得力を持たせてしまう。あのシーンは忘れられないですね。伊東さんは、おすし屋さんっていう設定だったらおすし屋さんに見えるし、ヤクザの親分っていう設定になると、いかにも親分に見える。その存在感に、いつも圧倒されます」