先輩の笑顔が見たいですから

 本作の魅力はバディを組む笹塚晋平とのやり取り。笹塚は城崎の捜査一課時代のバディであり先輩だ。演じる小泉孝太郎とは以前、ドラマ『フィクサー』(23年、WOWOW)で共演経験がある。

「その時に積み重ねた関係性もあるので、今回はぐっと近いといいますか、自然と信頼し合える距離感も出来ていると思います。台本にはなかったですが、本番中にアドリブで勝手に抱きついたり(笑)。だって、こんな良い先輩の笑顔が見たいですからね。小泉さんご自身は気遣いであったり、お人柄がとても素敵で、作品に対しての真摯な姿勢など学ばせてもらうことが多いです」

 失踪する城崎の妻・恵子を演じるのは泉里香。設定ではフリーランスの記者だ。

「これってなかなかない組み合わせですよね。でも、台本を読んだ時は二人にはより良い未来に進むというエネルギーがあったと感じられたんです。いざ撮影が始まって、泉さんとお芝居をしていく中でも新たに色々と膨らみが出たと思います。若干、友達感もありつつ、達彦はちょっと尻に敷かれている感もあって(笑)。台本に書かれているよりもすごく仲が良くて、“新婚なの?”と思うぐらいなんです。2人のシーンは自然とそういう感じになっているので、大切な人との幸せな日常を取り戻したくなる、そんな感じになっているんじゃないかと思っています」

 本ドラマに携わったことによって、「失踪」について調べたという。

「失踪というのは日本では年間で約8万件もあって、日割りしてみると一日約200人が失踪しているということになるんです。そう考えると、決して他人事じゃないなと考えを改めました」

 そんな町田さんだが、プライベートでは現在34歳。やはり20代までとは仕事への向き合い方に変化はあるという。

「一生懸命やるだけというのは変わりませんが、監督とどうディスカッションするかやお芝居へのアプローチの仕方は変わってきているという実感はあります」

 今後の、総体的な意味での変化を問うと

「今回の『失踪人捜索班』の現場を見ていて思ったんですが、皆さん作品作りに対してとても真摯で童心的な部分をたくさんお持ちなんです。そういうところは僕も変わらずにいたいと思います。ただ、その時の時代感というものもあるので、それに応じて体も考えも価値観も色々変わっていくと思うんです。その変わっていくものを柔軟にしっかりと自分に取り入れ、学びながら変わっていければいいなと思います」

 そんな町田さんにとって、人生におけるターニングポイントは学生時代まで遡るのであった──。

町田啓太(まちだ・けいた)
1990年7月4日、群馬県生まれ。O型。2010年「第3回劇団EXILEオーディション」に合格し、同年12月に舞台『ろくでなしBLUES』で俳優デビュー。2014年にNHK連続テレビ小説花子とアン』で主人公の義弟役で注目を集めた後、大河ドラマ『西郷どん』、『青天を衝け』、『光る君へ』、Netflix『今際の国のアリス』シリーズ、『幽☆遊☆白書』などの話題作に出演。

●作品情報
ドラマ9『失踪人捜索班 消えた真実』は4月11日より、テレ東系にて毎週金曜日 夜9時から放送
出演:町田啓太 小泉孝太郎 菅生新樹 泉里香 武田玲奈 片桐仁/高橋克実 光石研
脚本:小峯裕之 本村拓哉 木江恭
監督:池澤辰也 守下敏行 島添亮
(c)「失踪人捜索班 消えた真実」製作委員会
公式サイト: https://www.tv-tokyo.co.jp/shissounin_sousakuhan/