私、2週間くらいなら、お風呂入らなくても平気です

ーー被災生活で一番困ったことはなんですか?

「正しい情報が手に入らないことですね。給水車が役場に来るって、近所の人から聞いたので行ってみたけど、そんな車は、どこにも停まっていない。苦しい状況を前に、途方に暮れてしまいました」

井上晴美

ーー苦しい被災生活は、女優人生にも役立ったそうですね?

「震災後にオファーがあった『山女日記〜女たちは頂を目指して〜』(NHK・16年11月6日~12月18日)が2週間、山の中でのロケがあるドラマだったんです。いつライフラインが復旧するか分からない被災地に比べれば、2週間の山籠りなんて、へっちゃらでした。打ち合わせのときも“私、2週間くらいなら、お風呂入らなくても平気です”って言っていましたもん(笑)」

ーー若者言葉でいうところの“風呂キャンセル界隈”ですね(笑)。

「日本人はキレイ好き過ぎ。野生児のように生活するくらいが、ちょうどいいんです」

ーー自給自足の生活をしている井上さんが言うと、説得力が違います!

「私、目標があって、狩猟免許を取りたいんです。自宅の周辺は田舎なので、マタギのお爺さんなんかも住んでいるんですよ。この前、食べた鹿肉のお刺身も柔らかくって、おいしかったな〜」

ーー鹿肉の刺身なんてめったに口にできません! 狩猟免許の取得は、いつ頃になるんでしょうか?

「それが私、毎回試験の日を忘れちゃって全然、受けられていないんです。今度こそ、今度こそとは思っているんですけど……」

ーー残念です。井上さんが捕獲した猪や鹿、食べてみたい!

「あはは(笑)。私、今はカウンターのお店をしているので、いつかは人前で料理を振る舞う日もくるかもしれません」

ーー井上さんの手料理、食べてみたいです!

(つづく)

井上晴美(いのうえ・はるみ)
 1974年9月23日生まれ。熊本県出身。1991年、16歳で芸能界に入り、ドラマ・映画・舞台など数多くの作品に出演。山の中で自然に囲まれながら子育てをしている。2024年2月20日「くまもと移住アンバサダー」就任。