今回登場してくれたのは女優の井上晴美さん。かつては、トレンディドラマにも出演し、雑誌の表紙を飾った彼女も今では3人のお子さんを育てるお母さん。2011年から始まった地元・熊本での生活から、昨年1月に亡くなったカメラマンの篠山紀信さんとの撮影秘話まで根掘り葉掘り話を聞いてみました。【第1回/全2回】

井上晴美

ーー井上さんは現在、熊本に住んでいるんですよね。

「そうですよ。3番目の子供を里帰り出産したタイミングで、私の地元である熊本に移住しました」

ーー熊本での暮らしは、どうですか?

「東京と違って、自然がたくさんあって楽しいです。家の前にはナスやトマトを植えています。鶏も飼っていますね」

ーー自給自足の生活ですね! 大変なことはありませんか?

「家の周りにはアナグマや猪などの野生動物もチラホラ現れて……。卵を産んでくれるからと鶏を11羽飼っていたんですが、イタチにやられてしまいました。今では4羽しか残っていません」

ーーとても悲しいお別れですね。

「檻に入れずに放し飼いにしていたもので……。油断していました。3人の子供と一緒に、庭に穴を掘って埋葬しました」

ーー3人のお子さんは、熊本での暮らしを楽しんでいますか?

「子供たちは楽しいみたいです。都会は人がたくさんいるから嫌だって。一番年上の長男は、ロードバイクに夢中です」

ーーステキです。一方で、16年4月には熊本地震で被災をし、苦しい経験もしましたね。

「当時は、2番目の子供である長女が小学1年生。新学期も始まったばかりでした。地震は一瞬の出来事でしたね。ガラッと周りの景色も変わって……。まるで、自分が映画のセットの中にいるのかと思いました」

ーー地震が起きたときは何をしていたんですか?

「夜だったのでキッチンで片付けをしていました。ドーンっと揺れたかと思うと、柱が軋み、“ギギギッ”という音が家中に響き渡りました」

ーー怖すぎる。

「すぐに子供を叩き起こして、車に乗って逃げました。地震の日の夜は外にテントを張って野宿です。翌朝、起きて周りを見渡すと山は崩れているし、周囲の家も2階部分が潰れて倒壊状態でした。びっくりしました」