もっと多くのメディアに取り上げられるようにもなりたい
さらに多くの方の目に留めてもらうためには、もっと多くのメディアに取り上げられるようにもなりたいですね。例えば、漫画になるとか、ドラマになるとか。落語もかつて『タイガー&ドラゴン』 (TBS系)が放送されたことで、多くの若い方たちが興味を持つきっかけになったと思うんです。
落語や講談と違い、浪曲は浪曲師と曲師の二人三脚の芸ですので、この2人の間には夫婦関係だったり、いろんな関係 (笑) があったりするんです。このあたりを取材してもらえたら、意外にドラマになりやすいジャンルだと思います。
講談界では神田伯山さんが今、大ブレイクをしていますよね。隣のジャンルではありますが、もちろん、とても意識をしています。彼が真打になる前は、私が最も多く二人会をやっていたのではないかと思うほど、切磋琢磨していました。彼は当時からものすごく刺激的な芸でした。もともと浪曲は講談から題材の大半をもらってますから、持ちネタも共通するものが多いんです。
世間的になじみの薄かった講談を、多くの方に再び認知させて魅了したのは、本当にすごい。やり方によっては、今のお客様にも十分通用すると証明してくれたことは、浪曲の世界から見ても希望の星となっています。彼のほうが少し後輩ですが、活躍する姿に刺激をもらっています。嬉しいことに、末廣亭の主任興行以降、ご一緒できる機会が最近また増えてまして。
彼の背中を見ながら、私なりに浪曲界に新しいエネルギーを与えていく存在になれたらと思っています。伯山さんの背中って、物理的にも大きいんですよ (笑) 。
玉川太福(たまがわ だいふく)
2007年3月入門、13年10月名披露目。大学卒業後に放送作家事務所へ入り、その後コント師を経て浪曲師に。15年に第一回渋谷らくご創作大賞、17年に第72文化庁芸術祭 大衆芸能部門 新人賞、23年に彩の国落語大賞・特別賞を受賞。浪曲定席木馬亭をはじめ、近年では落語の定席にも出演し、今年1月下席の末廣亭での初主任興行は、10日間大入満員という歴史的な興行となった。新著に『玉川太福 私浪曲 唸る身辺雑記』(竹書房)がある。
5月3日「第87回玉川太福 “月例”木馬亭独演会」
浅草木馬亭にて18時開演
木戸銭:3,000円 ※当日券のみ