“経験こそが宝なんだ”って

──今日のお話を伺っていると、10代後半ぐらいで、生き方の軸になる部分は持っていらしたのかなと思えますが。

「生まれながらに持っていた、自分自身の生き方のひとつみたいなことは40歳を前にして一回ゴールを迎えたんだと思います。考え方にしても、生き方や仕事に対しての取り組み方といった面においても。でも、いまはそこから新たな出会いで変化していってると思うんです。色々な自分に出会っていくわけじゃないですか。時間って嫌でも流れていくわけで、その中で様々な取り組み方を経験してきたんですが、40年経って何となく判ってきた感じがするんです。例えば、もう絶望的だなって思えても、時間の流れとか新しい出会いといったモノの力を借りながら、結果自分次第ではありますけど、次の一歩が見えてきたりとか。今回のように自分がドラマに出たり、事務所の後輩とコラボしたり。その後輩も10代の頃からお互い頑張ってきていて、こんな未来を想像できなかったねとも話したんです。そうやってきて、ようやく人生が楽しいって感じられるようになってきたんです」

──人生はチャレンジの連続だと。

「チャレンジの連続だけど、そのチャレンジが怖い時もあったり、チャレンジ出来なかったこともあったり、その時に責める自分もいたりして。そういうことを経て、いまの私は何でもやってみた方が良いと思うところに辿り着いたんだと思うんです」

──やらずに後悔するより、やって後悔するタイプなんですか。

「そうですね。でも、やる時のメンタルも結構大事なんですよね。繰り返しているうちに、どういうメンタルでいけばある程度は望む方向性にいけるのか何となく判ってくるじゃないですか。若い頃だと、流されてるなって感じた時にもっと自分らしさを大事にしなきゃって思っていたんですけど、いまは『ちょっと流されてみようかな』って思う様になってきたんです。それで結果、思いもよらなかった楽しい流れが出来たりとかすることがあるんです。そういったことも楽しめるようになってきたってことですよね」

──以前に比べてみると、ということですね。

「以前はやっぱり、ちょっと怖がりなところもあったと思うし、大丈夫かなって不安になることもあったんです。ちょっと進んだ時にちょっと違うだけで戻ろうかなって思ったりもしたんですけど、いまは“とりあえず流されてみましょうか”って。“どうにかなる、出来る”みたいな、自分を本当の意味で信じるということを積み重ねてきた結果だと思うんです。だから、今回の『対岸の家事』でドラマにこれだけ関わらせてもらえるのもチャレンジで、初めてのことやすごい緊張があって、どうしようって思っても、きっと進んでいけば、また新しい流れが見てくるだろうって信じることが出来ています。“経験こそが宝なんだ”っていうことを思っているので、これからも変化を恐れずにどんな自分も受け止めて歳を重ねていきたいです」

 取材の最後に、同世代の女性編集が「以前CDを買ってました」と話すと「ありがとうございます」と思わずハグをしてくれて、とてもフレンドリーな印象をくれた島袋さん。きっと、島袋さんが持つポジティブな生き方は永遠に彼女の中のパッションの火を絶やすことはないだろう。

島袋寛子(しまぶくろ・ひろこ)
1984年4月7日生まれ。沖縄県出身。3歳から沖縄アクターズスクールに通う。SPEEDとして12歳でデビュー。正式なソロデビューは1999年発売の『AS TIMES GOES BY』。ジャズのプロジェクト『Coco d’Or』にて3枚のアルバムを発表。 2008年にSPEED の活動を再開後もソロ活動を並行し、2013年にアルバム『私のオキナワ』をリリース。ミュージカル、ドラマなどで演技にも積極的に取り組む。アロマセラピー・ボディトリートメント・カラーケアシステムの資格を持つなど、タレント以外でも多岐に渡り活動。地元沖縄の FM OKINAWAで 「島袋寛子の いいね!OKINAWA!」のパーソナリティもつとめている。4月29日(火・祝)に沖縄・那覇文化芸術劇場で開催予定の「戦後80年 平和祈念コンサート」への出演が決定している。

【作品情報】
火曜ドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』は毎週火曜日、夜10:00~、TBS系にて放映中。
公式サイト: https://www.tbs.co.jp/taigannokaji_tbs/
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