映画『殺し屋1』への出演がひとつの転機に
──そんな中で、手ごたえを得られた作品は?
「29歳のときに公開された、三池崇史監督の映画『殺し屋1』(2001)です。サブカルチャー系の映画でしたが、オーディションを受けて出演することができて、業界の人に顔と名前を覚えてもらうきっかけになりました。
その2年後にも『ヴァイブレータ』という映画に出演させていただいて。主演の寺島しのぶさん演じるルポライターと行きずりの関係になって、旅をしていくトラック運転手の役でした。僕も寺島さんもこの映画で賞をもらえて、周囲の僕を見る目が変わりました」
──転機となる作品ができたと。
「それまでも10年近く俳優としてやってきたなりに、頑張った映画でした。でも賞をもらえるほど評価されたのは予想外で、自分でもどこがそんなに良かったのかわからなかったです(笑)。
ただ、みんなが褒(ほ)めてくれたので、“やったぜ!”と自信にはなりました。映画『殺し屋1』(2001)の後で、それまで所属していた父親の事務所を離れて、自分で会社をつくったりと、とにかく勢いがありました」
──いきなり、大胆な決断ですね。
「心の底では、芸能界のしがらみを信じられなかったんだと思います。いくつか“うちに来ないか”というオファーもあったのですが、直感でその道は違うかなと。1年や2年でつぶれてもいいから、自分のやりたいように生きてみるのもいいかなと考えて。結果的に、多忙すぎてつぶれてしまうようなこともなく役の研鑽(けんさん)を重ねられたので、正解だったようです」
映画俳優として手ごたえをつかみ始めたところからの、いきなりの独立。リスクをいとわない選択を取れたのは、大森のマイペースなマインドがあったと振り返ってくれた。

大森南朋(おおもり・なお)
1972年2月19日、東京都生まれ。1996年のCM出演をきっかけに本格的に役者としての活動を開始。2001年『殺し屋1』で、主人公のイチを演じて映画初主演。2003年キネマ旬報ベストテンにて助演男優賞、ヨコハマ映画祭最優秀助演男優賞(『赤目四十八瀧心中未遂』『ヴァイブレータ』)受賞、2010年日本アカデミー賞優秀主演男優賞(『ハゲタカ』)を受賞。映画『アウトレイジ 最終章』、『法廷遊戯』、『首』、『かくかくしかじか』、大河ドラマ『龍馬伝』『どうする家康』(すべてNHK)、『サイン-法医学者 柚木貴志の事件-』(テレビ朝日系)、『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)、『マウンテンドクター』(カンテレ・フジテレビ系)など、多数の作品に出演。現在は放送中のドラマ『あなたを奪ったその日から』に出演中。
衣装:星 翔子(ビッグウッド)
ヘアメイク:枝廣優綺(Ange.G)
『あなたを奪ったその日から』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00~22:54放送
出演:北川景子、仁村紗和、平祐奈、阿部亮平(Snow Man)、水澤紳吾、小川李奈、一色香澄、田山由起、内藤秀一郎、原日出子、鶴田真由、大浦龍宇一、中原丈雄、筒井道隆、大森南朋
脚本:池田奈津子
演出:松木創、淵上正人、本間利幸、大﨑翔
企画:水野綾子
音楽:村松崇継
主題歌:back number「ブルーアンバー」(ユニバーサル シグマ)
プロデューサー:三方祐人
制作:カンテレ、共同テレビ
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『あなたを奪ったその日から』カンテレ・フジテレビ系