34回出場したNHK紅白歌合戦では、圧倒的な歌唱力と豪華な衣装で日本中を魅了し、2013年にはニコニコ動画で投稿動画が100万回再生、コミケことコミックマーケットやクラブイベントでは若者をトリコにする“ラスボス”小林幸子の、THE CHANGEとは──。【第1回/全5回】

「わたし、9歳のときに人生の選択肢を迫られたんですよ」
当時、新潟県新潟市で精肉店を営む両親の三女として生まれた小林幸子は、抜群に歌がうまい子どもだった。
父親はとにかく歌が大好きで、末娘が上手に歌うのが嬉しくてたまらず、当時大人気だったテレビ番組『歌まね読本 スターへの登竜門』に応募。出演した幸子は、見事グランドチャンピオンに輝いた。そして、審査委員長だった古賀政男氏にスカウトされる。
「ある日、両親がそれまで見たことがないような真面目な顔で、“いまから、幸子に大事なことを聞くから座りなさい”と言うんです。子ども心に、これはちょっと尋常じゃないなと感じて正座したところ、“幸子は、歌手になりたいか?”と聞かれました」