「山に埋めれた話」で知名度が全国区に

 そして「山に埋めれた話」を初めてテレビで披露すると、類まれなおもしろさにたちまちチャンス大城さんの存在は全国区となった。

「いつだかはちょっと忘れたんですけど、テレビを見ていたら、スティーブ・ジョブズが卒業する大学生に向けて“点と点は必ず繋がるんだ”って言ってたんですよ。ジョブズは大学のときに受けたくない授業を選考してしまって、"これなんやねん”って思ってたけど、あとあとパソコンの世界に入ったらそのときの授業が生きてきたんですって。“無駄なことはない”って言ってて」

ーー大城さんも、山に埋められた経験が糧になったんですね。

「はい。山に埋められたことは、なんか自分の中で悲しい思い出というか、すっごい孤独やったんですよね。埋められてるときって。腹が立つしね。でも、20年以上あとにたくさんの人に"チャンス大城さん、埋められたことあるんですね”とかよく言われるようになって、こうやって繋がるんだなって。ひとつの名刺になったというか、本当にジョブズさんの言う通りだった。繋がるんだなって思いました。
 川を辿ったら全部繋がってくるというか。その源流には、14歳でNSCに入っていなかったら出会えなかった、千原ジュニアさんがいるんです。そこは全部繋がってたんだなって。ちょっと嫌やったんですよ、俺はなんで中学でNSCなんか入ったのかって。学歴コンプレックスみたいなね。いろいろ社会をわかってから入ったほうがよかったかなとか。でも入ってなかったら千原兄弟と出会えてなかったから"今”はなかったんですよ」

 そのときは死ぬほど壮絶な目に遭っていたとしても。思わぬところに、人生の転機はあるのだ。

(つづく)

チャンス大城(ちゃんす・おおしろ)
1975年1月22日生まれ、兵庫県出身。14歳のときに、1歳サバを読みNSC大阪校8期生として入学するものちに中退。高校卒業後に同13期生として再入学。フリーとなり長く地下芸人生活を送り、2017年12月放送『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の『第23回細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』で小出真保とともに優勝。翌1月放送『人志松本のすべらない話』(同)に出演しその名が轟く。近年は『水曜日のダウンタウン』(TBS系)などで活躍。R-1グランプリ2025ファイナリスト。