やりたいことをやってるだけ

――多くの名曲を歌っている研さんですが、世代的に、ザ・ドリフターズとの共演や『カックラキン大放送!!』(日本テレビ)などでの研さんも見ていました。子どもだと、そこから研さんを知っていったという層もいると思います。歌手活動とは全く違いますが、そうしたお仕事も楽しいですか?

「楽しいですよ。特に『カックラキン大放送!!』なんてレギュラーでしたから。楽しいし、嬉しいし。テレビなので、当時は親も見てるだろうし。喜んでもらえたらいいなと思っていました」

――子どもからお年寄りまで、ファンが増えていっているのを肌で感じることはありましたか?

「あまり感じませんでしたけど、ただ『カックラキン大放送!!』で歌っているときに、掛け声がかかったりするんです。そうすると、“あ、私を応援してくれている人がいるんだ”とは実感しました。アイドルの子たちに声がかかるのは当たり前ですから。それを私の歌っているときに声がかかると“ありがたいなあ”と思っていました」

――近年では、有名人の方がSNSをうまく活用した先駆けかと。

「本当に? やりたいことをやってるだけなんですけどね」

――SNSから入って、Spotifyなどで改めて研さんの歌を聴いて“かっこいい!”となる若い人もいるかと。

「そうなのかな。そこは分かりませんね。エゴサとかしないので」

――エゴサはしないのですか?

「ほとんどしません。しても無駄だから」

――自分のやりたいことに突き進んできた研さんにとって、エゴサはしてもしょうがない?

「はい。何を言われているか分からないし、目にしたくないこともあると思うんです。それをわざわざ見るなんて、そんな時間もったない。だったらちょっとでも寝て体を休めたほうがいい。体力は別にそんなにないけど、やりたいことはいっぱいあるから」

 研さんの多方面での活躍はまだまだ止まらない。

(つづく)

研ナオコ(けん・なおこ)
1953年7月7日生まれ、静岡県出身。1971年に「大都会のやさぐれ女」で歌手デビュー。1975年には「愚図」でFNS音楽祭・最優秀歌謡音楽賞を受賞した。「かもめはかもめ」(1978)で日本歌謡大賞放送音楽賞、日本レコード大賞金賞ほかを受賞。ほか数々の大ヒット曲で知られる。歌手活動以外にも、タレントや俳優として幅広い分野で活躍し、近年はSNSでも人気を集める。デビュー55周年の2025年は、記念アルバム『今日からあなたと… Starting today, with you』を発売。9年ぶりの映画主演作『うぉっしゅ』が公開中。

●作品情報
「うぉっしゅ」
監督・脚本:岡﨑育之介
出演:中尾有伽、研ナオコ
配給:NAKACHIKA PICTURES
新宿ピカデリー/シネスイッチ銀座 他 全国にて絶賛公開
(C)役式 
公式サイト: https://wash-movie.jp/