だいたいの男の人はマザコンだと思う

 ご自身も息子のお嫁さんに対して踏み込んでいってしまうと、その場の雰囲気や空気が嫌になるところがあるそうだ。遥子というキャラは仁科さんと重なるところがあるのではと尋ねると、「そうですか。それでキャスティングしてくれたのかな」と笑いながら答えてくれた。ヘンな言い方だが、遥子は子離れしていないようにも受け取れる。仁科さんご自身はどうなのだろうか。

「男の人って結構マザコンじゃないですか。精神的にというか芯の部分では。私の父なんて死ぬまでマザコンでしたし(笑)。息子も結婚する時にお嫁さんに“俺、マザコンだから覚悟しておいてね”なんて言ったらしいですよ(笑)。とはいえ、そんなにベッタリじゃないですし、何が何でも最初から私の意見しか聞かないとか、そういうことはないですよ。やっぱり、母親は自分より歳も上だし、異性に対して持ついたわりの気持ちも含めて、母親に対しては優しいところがあるんじゃないかなって思います。うちには娘と息子がいますけど、例えば、スマホの操作が分からない時に娘に訊くと、 “無理”って。返ってくるのはたった二文字(笑)。分かりやすいでしょ? でも、息子に頼むと“いま時間が無いからダメ”とか、ちょっと言葉が増えるんですよ」

 父親が歌舞伎俳優で母親がSKD男役のトップスターという芸能一家に育った仁科さんは、1972年に仁科明子の名でデビューを果たした。その後、俳優としての50年以上のキャリアを含む人生は波乱万丈でもあった……。

(つづく)

仁科亜季子(にしな・あきこ)
1953年4月3日、東京都生まれ。T158㎝。歌舞伎俳優・十代目岩井半四郎の次女として生まれる。1972年、NHK銀河テレビ小説『白鳥の歌なんか聞えない』で俳優デビュー。そのごもNHK大河ドラマ『勝海舟』、土曜ドラマ『眠りなき前進』などに出演し、清純派女優として注目され、多方面で活躍。近年では映画『僕らはみーんな生きている』、『犬、回転して逃げる』、『卍』、ドラマ『刑事ゆがみ』、『庶務行員 多加賀主水』シリーズがなどに出演。その一方で、自身のがん闘病の体験に基づく講演でも活躍中。

【作品情報】
映画『真夏の果実』
出演:あべみほ 奥野瑛太 佐野岳 小原徳子 東ちづる 仁科亜季子 他
脚本:松本稔
監督:いまおかしんじ
5月17日(土)より東京・新宿K‘s cinema ほか全国順次公開
配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト
(c)2025「真夏の果実」製作委員会
公式サイト: https://www.legendpictures.co.jp/movie/midsummer_fruit/