70歳を過ぎて四十肩!?
今年4月には72歳の誕生日を迎えた。
「60歳の還暦って人生ひと廻りしてめでたいって歳じゃないですか。この時は肉体的にも精神的にもあまり変わらないなって思ったんですけど、70歳を過ぎたら“あれ!? ”って思うことが多くなってきて……」
──どういう時に「あれ!? 」って思うんですか?
「たとえば背中にチャックがあるワンピースを着る時に、以前だったらチャックを上げるために全然苦にならずに背中に手を回せたけど、最近は“痛っ!”って感じるようになってきて(笑)。息子に“四十肩かしら”って話したら“今更、四十肩なんかじゃないでしょ”って。それで、お医者さんに相談したら、四十肩っていうのは呼称であって、72歳になってもありますよって言われました(笑)。70歳を過ぎると、日々そういうことがありますよね。歳を重ねるってこういうことなんだって。先輩方にこの話をしたら“75歳になったらもうひと段階来るわよ”って言われて“え~っ!”って、今からちょっと心配気味なんです(笑)。そうならないようにも多少は抗って努力はしていますけどね。このあいだの誕生日に息子と娘からスマートウォッチをプレゼントされたので、それで体調管理はやっています。朝も15分くらいストレッチをやったり。いま虫歯が一本出来て直していますけど、歯はすごく丈夫なんです。このことも健康であるためには大事なことですよね」

仕事に対してもポジティブだ。
「引退する前の『第一期』の時もそうでしたが、私ってあまり明るい役がなかったんです。耐えて忍んで我慢して……みたいな役が多くて。だから明るいキャラとか、逆にとてつもない、根っからの悪女を演ってみたいですよね。これまでも2時間ドラマなどで犯人役とかはありますけど、そういうのって、やむに已まれず殺しちゃったというのが多くて、本当の悪ではなかったので」
──例えば、『黒革の手帳』のヒロインみたいな?
「あそこまでは艶っぽくはないな~」(笑)
取材中のちょっとした言動もお茶目なところがあって、とても70歳越えとは感じさせない。そういう意味でも、今の俳優の世界では稀有な存在であると思う。これからも年齢という枠を超えてどんな役を見せてくれるのか楽しみだ。
仁科亜季子(にしな・あきこ)
1953年4月3日、東京都生まれ。T158㎝。歌舞伎俳優・十代目岩井半四郎の次女として生まれる。1972年、NHK銀河テレビ小説『白鳥の歌なんか聞えない』で俳優デビュー。そのごもNHK大河ドラマ『勝海舟』、土曜ドラマ『眠りなき前進』などに出演し、清純派女優として注目され、多方面で活躍。近年では映画『僕らはみーんな生きている』、『犬、回転して逃げる』、『卍』、ドラマ『刑事ゆがみ』、『庶務行員 多加賀主水』シリーズがなどに出演。その一方で、自身のがん闘病の体験に基づく講演でも活躍中。
【作品情報】
映画『真夏の果実』
出演:あべみほ 奥野瑛太 佐野岳 小原徳子 東ちづる 仁科亜季子 他
脚本:松本稔
監督:いまおかしんじ
5月17日(土)より東京・新宿K‘s cinema ほか全国順次公開
配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト
(c)2025「真夏の果実」製作委員会
公式サイト: https://www.legendpictures.co.jp/movie/midsummer_fruit/