ウルトラマンZ』の主人公として知られる俳優の平野宏周さん。ここ数年はバリエーション豊かな出演作を増やしさらなる躍進が期待されるなか、6月20日(金)より配信がスタートする、同性同士の恋愛を繊細に描いたドラマ『被写界深度』では主人公のひとりを演じる。周囲にポジティブな心地をもたらす平野さんのTHE CHANGEには、明るさだけではない意外な辛酸も滲んでいた。【第3回/全5回】

平野宏周 撮影/冨田望 ヘアメイク/菊地倫徳 スタイリスト/鳥羽栞

 6月20日より配信するドラマ『被写界深度』(FOD)ではカメラに熱中する高校生を演じる平野宏周さんだが、自身も情熱を注いできたものがあった。小・中学を野球に捧げたといい、「実は、メディア初登場は少年野球の記事なんです! 最優秀選手で主将の平野宏周くん、と書いてあるんですよ」とご機嫌な笑顔で地元新聞のネット記事を見せてくれる。

「ちっちゃい頃は野球少年で、小学校の卒業式で“プロ野球選手になってお母さんに家を買います”みたいなことを言うくらい野球バカだったんです。けど、中学生になって背があまり伸びなくて、周りとのパワーの差を感じて挫折して、中3になる直前に野球を辞めたんです。それが僕のTHE CHANGEでもあります」

 朝練や遠征のために早朝に起きて、朝6時集合はザラだった。小学生のときはそれすらも楽しかった。

「でも、中2のあるときからだるそうに起きるようになった僕を見た母から、“野球、楽しい? 辛かったら辞めていいよ”と言われた瞬間、涙が止まらなくなっちゃって。“俺、野球嫌いになっているのかも”と気づいて、そこで辞める選択をしたんです。すごく悔しかったですね。自分は野球しかやらないんだろうと思っていたし、兄は野球の特待生としてスカウトされて高校に入っていて、僕も当たり前のように同じ道を歩むんだろうなと思っていたし。複雑な感情がバーっと涙と一緒に溢れてきました」