嫌いになった野球を再び楽しめるようになった理由

 中学生になると、全国大会常連のクラブチームに所属した。

「けど、中学生になって背があまり伸びなくて、周りとのパワーの差を感じて挫折して。“俺、全然たいしたことないんだな”というのを少しずつ実感し始めて、中3になる直前に野球を辞めたんです。シニアリーグは中3の夏に引退なので、あと半年頑張ればよかったんですけど、僕には耐えられなかった」

 それから野球が大嫌いになった。見るのも嫌だった。デビューしてからも、野球への複雑な感情はなくならなかった。

「でもあるときから、また野球を見ることができるようになったんです。純粋に楽しめるようになりました」

ーーなぜでしょう?

「この活動をしていく中で、自分のやりたいことがほかに見つかったというのが大きいかなと思います。芸能の仕事を始めたばかりの頃は、"有名になれるなら”という軽い気持ちでしたが、最近は変化したんです。"俳優としていい作品を作りたい。ステキな監督さんたちと一緒に仕事がしたい”と。ミーハー心だったのが、具体的に“こうなりたい”という仕事観が芽生えたんだと思います」

ーーきっかけがあったのでしょうか。

「『ウルトラマンZ』が決まって、こんなに大人数の人たちが関わってひとつの作品が出来上がるんだな、というのを肌で感じて、すごい責任感が増したんです。そこから仕事がいっきに増えるのかなと思っていたんですけど、実際には自分が思い描いていたような仕事量ではなくて。コロナ禍ということもあり、自分が思っていたような活動ができず、そのときに一瞬、どこかで区切りをつけないといけないのかもしれないな、と思ったことがありました」

 芸能活動を辞めることがよぎった。同時に浮かんだのは、野球を辞めた頃の自分だったという。

「野球を途中で辞めたことと同じように、逃げることはもうしたくない、と思ったんです。それに、芸能活動を辞めても僕にできることはないなと思って。それで、この仕事を最後まで……なにを持って最後なのかはわからないけど、最後までやり切ろうという気持ちになりました。そして、とても光栄なことに近年はいろいろなお仕事をやらせていただけるようになりました。それこそ去年は『世界・ふしぎ発見!』(TBS系/2024年11月9日放送)でペルーに行きミステリーハンターをやらせていただいたり、いろいろな経験をしていくなかで“みんなと一緒にいい番組にしたい”という考え方ができるようになったんです。周りの人たちが僕のために本気で動いてくれて、今の僕がある、ということも実感するようになりました」