ドキリとさせる、射貫くような強い瞳を持つ田中麗奈。1998年に公開されたデビュー作にして主演を務めた『がんばっていきまっしょい』で、日本アカデミー賞、ブルーリボン賞、キネマ旬報ベスト・テンをはじめ、国内の新人賞を総なめにした。同年からスタートしたジュースCMの初代“なっちゃん”としても人気に火が付き、長く親しまれることに。近年では『幼な子われらに生まれ』『福田村事件』、朝ドラ『ブギウギ』、ドラマ『神の子はつぶやく』といった多くの作品で印象を残し、深みを増している田中さんがTHE CHANGEを語る。【第1回/全4回】

取材席に座るとサイトのアイコンである砂時計を手に取った田中さん。「これなんでしょう。砂時計?」と口にし、続けて優しく微笑みながら「1問3分で答えないとダメですか?」と冗談を飛ばした。
高校生で映画デビューした田中さんも、5月の誕生日で45歳。変わらぬ強く澄んだ瞳に、深い柔らかさが加わり、ますます魅力的に映る。
――田中さんは幼い頃から“女優になる”という明確な意思を持って進んできたとか。ご出身は福岡県の久留米市ですが、久留米というと、スターをたくさん排出している印象があります。そのことも手伝って、「自分も東京に出て成功するんだ!」といったことは子どもの頃から頭にありましたか?
※久留米出身のスターには、松田聖子、鮎川誠、チェッカーズ、石橋凌、藤吉久美子、吉田羊、桜井ユキなどなど、今も昔も錚々たるメンバーがいる。(敬称略)
「たしかに地元から東京に出て成功した方がたくさんいる、という意識はありました。周りからも“女優さんになりたいの? じゃあ、麗奈ちゃんも東京に行ってスターになるんだね”みたいなことを言われていたと思います」