初主演映画が決定したきっかけ

――そんな田中さんにとって、砂時計を回転させたときのように、人生に大きな変化が起きた瞬間はいつでしょう。

「17歳のときに受けたオーディションで、映画『がんばっていきまっしょい』が決まったことです。あれは本当に大きなチェンジだったと思います」

――田中さんの本格デビューかつ映画初主演作ですね。愛媛県松山市を舞台に、ボート部に打ち込む女子高校生たちの姿を描いた名作です。当時、映画館で観ました。私自身、とても好きな作品ですが、多くの人から今も愛され続けていますね。

「ありがとうございます。去年も上映会がありました。その際、私も久しぶりに映画館のスクリーンで観たのですが、やはり改めて“名作だな”と思いました」

田中麗奈 撮影/冨田望

――時間を経たことで、客観的に見られるようになりました?

「そうですね。以前は恥ずかしくって、素人さんがぼーっと棒立ちしているとしか思えませんでした。それが、去年の上映会で観たときに、“あ、意外といい声出してる”“いい間だな”などと思えるようになって。“いいじゃん”と初めて思えました」

――間違いなく“いい”です。いまだに“がんばっていきまーっしょい!”と声掛けしたくなります。

「10代の私でも、作品が素晴らしいことは当時から分かってはいたんですが、自分に関しては、“田舎から出てきた、まゆ毛の濃い素人の女の子が棒立ちでボソボソ言ってる”って思っちゃって(笑)」