ドキリとさせる、射貫くような強い瞳を持つ田中麗奈。1998年に公開されたデビュー作にして主演を務めた『がんばっていきまっしょい』で、日本アカデミー賞、ブルーリボン賞、キネマ旬報ベスト・テンをはじめ、国内の新人賞を総なめにした。同年からスタートしたジュースCMの初代“なっちゃん”としても人気に火が付き、長く親しまれることに。近年では『幼な子われらに生まれ』『福田村事件』、朝ドラ『ブギウギ』、ドラマ『神の子はつぶやく』といった多くの作品で印象を残し、深みを増している田中さんがTHE CHANGEを語る。【第2回/全4回】

『燦燦 -さんさん-』『ソワレ』『茶飲友達』など、社会問題をベースにした作品を撮り続けている外山文治監督が、現代の東京を舞台に描くオムニバス映画『東京予報 -映画監督外山文治短編作品集-』。その1編、『名前、呼んでほしい』で、田中さんは主演を務めている。
夫と子どもがいながら不倫関係を続けてきた、やはり既婚者の涼太(遠藤雄弥)に、1日だけ夫婦として過ごして関係を解消しようとする女性・沙穂を演じている。
――外山監督がもともと田中さんのファンだったことから、出演に至ったとか。
「ファンという言葉ではお聞きしてませんけど、監督になる前から、私の出演映画をよく観てくださっていたとは伺いました」
――オファーを受けたときは。
「嬉しかったです。監督の作品はユーロスペース(渋谷にあるミニシアター)で『茶飲友達』を拝見したのが最初です。“あの『茶飲友達』の外山監督が私にオファーを?”と驚きました。短編『わさび』や、長編『ソワレ』、今回のオムニバスに含まれた『はるうらら』もそうですが、女性をとても魅力的に撮影されてるなって。なので、きっとキレイに撮ってくださるんじゃないかと期待が沸きました。それに余白がありながら、深く味わいのある作品を撮られる印象です」