今回登場してもらったのは、話題作に出演し続けてきた大女優・松下由樹さん。21年ぶりとなる主演作への意気込みから。大好物であるソフトクリームへのこだわりまで、とことん語り尽くしてもらいました。【第1回/全2回】

松下由樹 撮影/小島愛子

ーー現在出演中のドラマ『ディアマイベイビー~私があなたを支配するまで~』(テレ東系)では、芸能事務所のマネージャー・吉川恵子役を演じます。新人俳優の森山拓人(野村康太)に歪んだ愛情を注いでいくという刺激的な役ですね。

「最初に台本を読ませてもらって、セリフ一つ一つがパワーワードだなと。ドキドキしました」

ーードラマで主演を務めるのは21年ぶりですね。

「それ、私も言われて初めて気付いたんです(笑)。でも、私の中では主演というよりも、作品の衝撃のほうが強くて、この役をどう演じて、作品を面白くするためにはどうしなきゃいけないのか……ということのほうが大きかったですね」

ーーキスシーンの撮影を数日後に控えた拓人に、恵子が「練習しないとね」と語りかけ、キスをするシーンは、見ていてもドキドキしました。

「主演となると、私の演じ方一つで作品の面白さも含めて変わってしまう。演じ切るということに対しての迷いを持っていちゃ、ダメだなって思ったので、演じることに対しての恐怖心とか一切なくす……という感覚で臨みましたね」

ーー身近にいるスタッフの方やマネージャーさんは役作りの参考にしましたか?

「マネージャー役は過去にも演じましたが、今回の作品はサスペンス。それだけに、役作りでも近くにいるマネージャーさんを参考にするということは、一切ありませんでした」

ーー共演者からの演技への反応はどうでしたか?

「拓人を気にかける俳優の南雲美羽を演じた中村ゆりかさんからは、人間不信になるくらいゾワッとしたと言われました」

ーー演じていても、恵子に対して共感することはないのでは?

「そうですね。リアルな共感というものは、私もないです。ただ、ドラマの中で、拓人が監督に無視される場面があるんです。そこは私、個人としても寂しい思いをするし、ひと言申したくなる気持ちが芽生えた瞬間ではありましたね」

ーー新人俳優という立場は、右も左も分からない。監督に無視されると、つらいですよね。そんな松下さんのデビュー作は映画『アイコ十六歳』(1983年)なんですね。

「もともとは中学生の頃に見たドラマ『ゆうひが丘の総理大臣』(78年・日本テレビ系)に、すごく憧れがあって」