バラエティ進出と“ぬっくん”の誕生

――すごいスピード感ですね!

「さんまさんに“『さんま御殿』の話が来ました”と伝えたら“この前、御殿のスタッフが見に来てたわ。それで話が来たんやろ”と」

――ひょっとしたらさんまさんが面白い俳優がいると伝えたのかもしれませんね。

「僕はよく分からないから“何をすればいいんですか”と聞いたら、“何もせんでええ、俺がいじるから”と言われて」

――それは頼もしい。

「そこからいろいろ洗礼が始まって大変でしたけど(笑)、でもそこから本当にお仕事が広がっていきました。『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)とか『ごきげんよう』(フジテレビ系)とか、いろんなバラエティの仕事が来て、それによって知名度が上がって、テレビのドラマにも呼ばれるようになって」

――ご活躍をいつも見ていますが、いまだについ“ぬっくん”と言ってしまいます。

「さんまさんがそう呼んでいますからね」

――温水さんとしては、いまもそう呼ばれることはどう感じていますか。

「ありがたいことです。この歳になって“ぬっくん”というのも照れくさいですけどね。でも当時も、街を歩いていると“あ、ぬっくんだ”と言われたりして、いろんな人に知っていただけたんだなと実感しました。そこから演技の仕事も増えたりしていきました。やっぱりそこが一番の転機。人生がもっとも大きく変わったのは、日本一のお笑い怪獣との出会いですね」

 さんまさんの目利きのすごさはもちろんのこと、そのさんまさんのアンテナが反応したのは、温水さんの個性があったゆえに他ならない。

 

ぬくみず・よういち
宮崎県都城市出身、1964年6月19日生まれ。1988年から94年まで劇団「大人計画」に所属。数々の小劇場出演を経て、遊園地再生事業団、村松利史プロデュース、竹中直人の会などに出演。2000年の舞台『七人ぐらいの兵士』での明石家さんまとの出会いをきっかけに、バラエティ番組でも人気に火が付いた。主な出演作に、映画『119』『ダメジン』、ドラマ『BOSS』シリーズ、NHK連続テレビ小説『ウェルかめ』『マッサン』、大河ドラマ平清盛』『真田丸』など。舞台、映画、ドラマとジャンルを問わず多数出演している個性派俳優。現在出演中の舞台、ケムリ研究室no.4『ベイジルタウンの女神』は全国公演中。8月31日からはBunkamura Production 2025『アリババ』『愛の乞食』に出演予定。フジテレビのバラエティ番組『ぶらぶらサタデー タカトシ温水の路線バスで!』にレギュラー出演中。最新出演映画である大地真央主演『ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜』では天使役を演じている。

『ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜』
監督・撮影:曽根剛
脚本:池田テツヒロ
出演:大地真央、黒谷友香、鈴木砂羽、水上京香、温水洋一、木村祐一、市川右團次
配給・製作:日活、東京テアトル