“仲野太賀のお父さん”と呼ばれることも多いですね
僕の世間でのイメージは、チョロ役の俳優とか、北野武監督の『アウトレイジ』の俳優というものだったと思います。ただ、最近では、“仲野太賀のお父さん”と呼ばれることも多いですね。
太賀は写真を撮られるのが大嫌いな子供でした。そんな子供だったので、俳優の道に進んだのは、本当に驚きました。母親に聞いたら、太賀は隠れて、カメラをいじったりしていたみたいで、撮る側の興味はずっと持っていたみたいなんですよね。そんな流れがあって、俳優としての活動にも興味を持ったみたいです。
そんな太賀ですが、俳優として、僕を参考にしたことはないそうです。そう判断したことで、現在、彼は俳優として順調にキャリアを積んでいるんです(笑)。僕から“俳優とはどんなものか”を話してあげようかと思ったこともあるのですが、相手にしてくれませんでした。「オヤジのやりたい俳優と、僕のやりたい俳優は違う」って言われてしまったこともあります。オレと共演してみたくないかって聞いたこともありますが、「ない」って即答されました。ちょっとさみしかった……(笑)。彼の頭の中に、俳優・中野英雄という存在はないみたいです。むしろ、俳優として刺激を受けているのは僕のほうですね。太賀は僕よりも年下の山田孝之さんや小栗旬さんに憧れているそうです。太賀をきっかけに、僕もあらためて彼らの演技をチェックするようになって、勉強をしています。
もちろん、太賀のこれまでの作品は全部、観ていますよ。だから彼の成長過程も分かるし、「この俳優、スゴイな」って思うこともあります。父としては、「お前、スゴイな」って絶賛したい思いもあります。ただ、俳優・中野英雄としては、負けたくないって思いもあるので、太賀から演技について聞かれても、少しクールに装って「まあ、いいんじゃない」って、素っ気なくコメントすることにしています。
中野英雄(なかのひでお)
1964年12月22日生まれ。京都府出身。哀川翔との出会いから、路上パフォーマンス集団『劇男一世風靡』に参加。1992年『愛という名のもとに』(フジテレビ系)に出演して以降、テレビドラマ・映画・Vシネマと幅広い舞台で俳優として活躍。