キネマ旬報新人賞、ブルーリボン新人賞などを受賞した主演デビュー映画『愛の新世界』から、強い輝きを放ってきた鈴木砂羽。現在は俳優業のほかバラエティ番組でも活躍し、絵の才能や飾らぬ人柄も知られているが、悩みが多かった時期もあったという。仕事から体調面まで、包み隠さず語る鈴木さんのTHE CHANGEとは――。【第1回/全4回】

鈴木砂羽 撮影/三浦龍司

 鈴木さんが俳優として主演映画デビューを飾り、一気に広く知られるようになったのは、94年公開の『愛の新世界』だった。

『愛の新世界』はSMクラブの女王様のバイトをしている小劇場の若手女優・レイの日々を見つめた成人指定の青春映画。高橋伴明監督作。島本慶のエッセイとアラーキーこと写真家の荒木経惟の写真を融合した同名の写真集を原作としており、劇中にもアラーキーの撮影シーンが登場する。日本映画初となるヘアヌードも話題になった。

――当時、かなり大きな反響がありました。

「とにかく恐れ知らずでした。緊張とかもわからなくて。無知だったから大胆だったというか。いろんな知恵をつけてくると恐れも出てくるんですけど、とにかくまっさらだったので」

――周囲はすごい人ばかりです。

「しかも全員大人。そこに20歳の小娘が入っていくとなったら、教わるしかありません。計算していたわけじゃないけど、“分からなくて当たり前なんだから、とにかくやってみよう”と、ぶつかっていくだけでした。親から“教えてもらうことに対しては謙虚になりなさい”とずっと言われてきたので、そうした気持ちは持ちつつ、あとは自分の好きなようにやろう決めていました」

――チャレンジングな役でもありました。

「台本を読んだときからいろんな画が浮かんで、“あのシーンはこうしよう”“こんな風にやりたい”“あの映画のあの感じでできたらいいな”とか、そんなことばかり考えていました。だから、周りの目とか、世間の反響のことは一切考えていませんでした。それが成功の秘訣だったなと思います。“自分の頭の中のものを、いかにそのまま現実に掘り起こせるか”。私は、それが成功の法則だと、思っています」