“もう全部、出しちゃおう!”と思って、バラエティ番組とかに出ていくようになった

――自分を抑えていた感覚があったんですね。

「30代前半はね。20代は子どもだったので、いろいろ考えることもなかったんですけど、30代に入って、周りの女優さんを見たりして。みんな美しくて“女優然”としてるわけです。だからといって私は、同年代の女優さんたちのようにキラキラ振る舞うことはできない。 “どうしよう”と。そこから30代後半“もう全部、出しちゃおう!”と思って、バラエティ番組とかに出ていくようになったんです」

――バラエティ番組は自分をさらけ出す場だったんですね。

「自分を表現する場を与えてもらった感じです。そこで番組(『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』「朝までハシゴの旅」)でもお酒をガブガブ飲んだりして(笑)。別に女優らしくしていない私でも、偽らなくて、“そのまんまの私でいいじゃないか”と」

――悩んだ末に行きついた。

「だけど、それはそれで“鈴木はどうしたいんだ、どこに行きたいんだ”と言われました(笑)。迷走していると思われて。今はそういう声にも、もう“いいじゃん!”って思えますけど、当時は、“偽らなくていい”と思いつつ、同時に人の目も気にしているところがあったので、エゴサとかめっちゃしてました」

鈴木砂羽 撮影/三浦龍司

――芸能人の方がエゴサーチをすると、賛否含めいろんな言葉が目に入ってきて大変な思いをしませんか?

「でもどうしても自分の評価が気になるんです。自分がやった番組、ドラマ、映画、舞台がどんなふうに見られているのか。データもそうだし。たしかに、なかには本当にただの誹謗中傷でしかないものもあります。それでもごくたまに、ちょっとヒントを得られるような宝石もあったりするんです。玉石混交(ぎょくせきこんこう)。だから、それもひとつの通過点でした」

――そして大きなチェンジがあった時期でもあった。

「30代から40代前半が、一番大きく変わりましたね。自分を出していいんじゃないかという精神になりました」

各年代にチェンジがあったという鈴木さん。時には大きなチェンジも。そうした全てが今の鈴木さんを豊かにしている。

鈴木砂羽(すずき・さわ)
1972年9月20日生まれ、静岡県浜松市出身。 94年に映画『愛の新世界』で主演デビューを果たし、第37回ブルーリボン賞新人賞、キネマ旬報新人賞、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞などを受賞し、一気に注目の俳優となる。以来、ドラマ、映画、舞台とジャンルを問わず活躍。バラエティ番組への出演でも人気を博す。さらに舞台演出やマンガの執筆など、俳優業以外の面でも活躍し、支持されている。主な出演作にドラマ『相棒』シリーズ、大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』、連続テレビ小説『まれ』ほか。最新出演映画『ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜』では世界的ファッションデザイナーのコシノジュンコを演じている。

『ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜』
監督・撮影:曽根剛
脚本:池田テツヒロ
出演:大地真央黒谷友香、鈴木砂羽、水上京香、温水洋一、木村祐一、市川右團次
配給・製作:日活、東京テアトル