「楽器を持たないパンクバンド」BiSHの解散から2年。ソロアーティストとして活動するアイナ・ジ・エンドさんの活躍が目覚ましい。シンガーソングライター、ダンサー、そして俳優としても才能を開花させるなど、とどまるところを知らない。6月9日には、その豊かな表現力が余すことなく発揮された初のフォトエッセイ『達者じゃなくても』(幻冬舎)を上梓する。そんなアイナさんのTHE CHANGEとは。【第5回/全5回】

「わあ! 夕日だ」
アイナ・ジ・エンドさんが、撮影のため屋内から外に出ると、真っ先に西の空を見上げてそんな声をあげる。誰に言うでもなく、思わず漏れてしまった、そんな声色だった。
「私、1日のうちに夕日が1回見れたら、もうその日はめっちゃハッピーなんです。夕日ってすぐに落ちちゃうじゃないですか。そんな一瞬の美しさがすごく好きで、それが1日にしか訪れないのならば、見れたときはすごいラッキーじゃないですか」
出会った瞬間からまばゆい感性で取材スタッフを魅了するアイナさんは、昨年12月27日に30歳の誕生日を迎えた。「言語化はまだできていないけれど」と前置きしつつ、感性の変化を感じることもあるという。
「“少女性”みたいなものは、たぶん削ぎ落としても削ぎ落としても自分のなかにはずっとあって、それを“30歳になったし、出していいのか、ダメなのか”みたいなのは難しいなって、今ちょっと思いますね。だけど、岩井俊二さんといるとずっと少女でいられたり、大好きなCHARAさんもずっと私にとっては少女だし、YUKIさんも、お母さんになっても女の子だし。私のお母さんもそうだから、それはかっこいいなと思います」