「独身だったら気にならなかったかもしれません」北村を変えた家族の存在
「若いときなんかは、芝居するために生きているような感覚でした。“何様だよ”というちっぽけな存在であっても、情熱やエネルギーはありました。もちろん、いまでもそういったエネルギーもあります。ただ、映画が好き、演劇が好きという人がいて、“携わっているだけで満足です”みたいな人がいますよね」
──そうですね。
「僕はそれでは満足できません。やっぱりちゃんと生活して食っていかなきゃいけない。独身だったら、本当に自分のやりたいことだけをやって、ギリギリの生活でも気にならなかったかもしれません。でも僕は家庭を持っていますから。家庭を持ったということは、僕を変えたと思います」
野島に聞かせたい言葉だ。立ち止まることを恐れず、さらに“家庭を持って僕は変わった”と言い切れる北村さんだからこそ、深みのある人物を演じられるのかもしれない。
(つづく)

北村有起哉(きたむら・ゆきや)
1974年4月29日生まれ、東京都出身。98年に舞台『春のめざめ』と映画『カンゾー先生』で俳優デビュー。その後、数多くの映画やドラマ、舞台に出演。2016年の『太陽の蓋』で映画初主演、2021年の『ムショぼけ』で連続ドラマ初主演を果たす。近年の主な出演作に、NHK連続テレビ小説『エール』『おむすび』、ドラマ『完全無罪』(WOWWOW)『いつか、ヒーロー』(テレビ朝日系)、映画『ヤクザと家族 The Family』(2021)『前科者』(2022)『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(2023)『キリエのうた』(2023)『誰よりもつよく抱きしめて』(2025)など。最新主演映画は内田英治監督作『逆火』。
『逆火』
2025年7月11日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開
原案・監督:内田英治
脚本:まなべゆきこ
出演:北村有起哉、円井わん、岩崎う大(かもめんたる)、大山真絵子、中心愛/片岡礼子、岡谷瞳、辻凪子、小松遼太、金野美穂、島田桃依
配給:KADOKAWA
(C)2025「逆火」製作委員会
※KADOKAWA映画公式YouTube @kpsenden より