俳優としてのキャリアを重ねてきたいま、気をつけていること

──それは、キャリアを重ねきたことで、周りの対応が変化してきたということでしょうか。

「そうですね。20代、30代のときに、“ここのセリフを見直したいんですけど”なんて言っても相手にされなかったのが、いまだと“じゃあ、それでいいですよ”と簡単に通ってしまうことがある。それが押し付けになっちゃいけないと思うんです。高圧的になってはいけない。そんな話も、妻から“気をつけなさいよ”と言われたりします」

──そんなお話もされるんですね。

「仮に僕がこのまま順調に行けたとすると、ますます何でも言ってくれる人が減っていく気がするんです。そうなると余計に、常に手綱を握ってくれている妻が身近にいてくれるのは安心だし、道を外さないんじゃないかと思います」

──信頼されているんですね。

「本当に感謝しています。ズバズバ言ってくれるし。あと、好みが合うんですよ。主に嫌いなタイプの」

──嫌いなタイプの(笑)。

「好きなものはそれぞれにあるんだけど、例えば、お菓子を食べながらテレビを見ていて“なんでこの人、こんなに売れてるんだろうねぇ”なんて言う感覚が同じなんです」

──(笑)。

 好みが一緒という話はよく聞くが、“嫌いなタイプが一緒”というのも、確かに重要かもしれない。

(つづく)

北村有起哉 撮影/有坂政晴

北村有起哉(きたむら・ゆきや)
1974年4月29日生まれ、東京都出身。98年に舞台『春のめざめ』と映画『カンゾー先生』で俳優デビュー。その後、数多くの映画やドラマ、舞台に出演。2016年の『太陽の蓋』で映画初主演、2021年の『ムショぼけ』で連続ドラマ初主演を果たす。近年の主な出演作に、NHK連続テレビ小説エール』『おむすび』、ドラマ『完全無罪』(WOWWOW)『いつか、ヒーロー』(テレビ朝日系)、映画『ヤクザと家族 The Family』(2021)『前科者』(2022)『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(2023)『キリエのうた』(2023)『誰よりもつよく抱きしめて』(2025)など。最新主演映画は内田英治監督作『逆火』。

『逆火』
2025年7月11日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開
原案・監督:内田英治
脚本:まなべゆきこ
出演:北村有起哉、円井わん、岩崎う大(かもめんたる)、大山真絵子、中心愛/片岡礼子、岡谷瞳、辻凪子、小松遼太、金野美穂、島田桃依
配給:KADOKAWA
(C)2025「逆火」製作委員会

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